#11 虎鉄
三振ですごすご戻ってきた兎丸にまた猿野が突っかかっていく。
「オラ、スバガキ〜〜!偉そーな口聞いといて何やっとんじゃ〜〜!!」
足蹴にされかける兎丸。それに反論出来ない兎丸は反撃する事はない。
打てなかったからってウサギ君を足蹴にするなよ。
「う〜〜〜、ごめんよ兄ちゃん。だってあのピッチャーの顔、超キモいんだもん」
兎丸は口を尖らせて敵校のピッチャーをそう評価した。
確かに、高校生どころか日本人らしくない顔立ちではある。
「あっ司馬君も戻ってきた。お疲れ様」
「(打てなかったけどね)」
少々落ち込み気味の司馬を慰めるかの様に笑みと
背中に手でポンと叩いて励ましを送る。
「次頑張って!!次は、虎鉄先輩か」
「おうYo!蛇神さん、オレが出たら後は頼んます」
「有無」
虎鉄先輩が、バットを握った。気合は充分の様だ。
「この回、第二の矢でもう一点取りましょうYa」
『8番 ファースト・虎鉄くん』
「マリファナ先輩、そんな点取るだなんて言っていいの?」
「お猿君、何で明美になってるの!?試合にまで女装道具を持ってくるな!!」
私のツッコミを無視して虎鉄先輩に近寄っていく。
「この間の華武戦、大ブレーキだったじゃないのよう」
「て…てめ…そんな昔の事」
「あと〜〜、猪里先輩とこで農作業してたって、
どーせヤバイ葉っぱとか栽培してたんでしょ」
「てめ〜〜!!ブッ殺すZo!!」
「お猿君。そろそろ止めないと私も怒るよ?」
もう、いい加減ギャグに付き合うのも疲れてきた。
その所為か今までよりも大きな黒いオーラを出しているらしく。
「す、すみませんでした」
すぐに謝ってきた。
「ったく、特訓してたのが自分だけ何て思ってないでよね」
「プレイ!!」
虎鉄先輩がバッターボックスに立つ。
「Hoo…2m20ってのぁ、近くで見るとやっぱでけえもんだNa」
敵ピッチャーは、何も答えなかった。
「猿野…あんま虎鉄の事ば冷やかんといてやらんね」
「猪里先輩」
「…必ず特訓の成果は出すと思うけん」
ええ。あんなに頑張っていたんだから。
カタパルトが投げられた。が、振らない。
「ストライ〜ク!!」
猿野がキレて立ち上がる。
「あ〜〜〜!!キザトラ先輩、何余裕かましてんすか?
クネクネしてねーで振んないと話しになんないっすよ!」
「猿野君、落ち着きたまえ」
牛尾先輩により、強制的に猿野は座らせられた。
「心配しなくても、虎鉄君ならきっとカタパルトを打てるハズさ」
食い入るように見つめる牛尾。
「あの大和君の上から突き刺さるカタパルト投法。
虎鉄君の打法が、最も攻略に適しているとは思わないかい」
球が投げられた。
上から降ってくるかのような球道。
「確かに上から降ってくるなんて反則だがYo!!オレにゃー打ちごろの球だNa!!!」
虎鉄先輩の打法は、超アッパースイング。
カタパルトを点で捕らえる通常打者と違い、すくい上げる打法の為、
線で捕らえられる。DUVS。
ギィィィィン
「HAHHA!ぶっ飛べ〜〜!!」
「いった〜〜〜〜!!!」
妙高が笑った。
「ファースト!!!」
虎鉄先輩が驚愕する。球は、ファースト方向のラインの外。
「あ…ああっ!?」「球がのびない…!!」
ファーストが走る。
「クソ!捕られちまうぞ!!」「キレろ〜!!スタンドに入っちまえ〜!!」
ファーストが飛びつくが。
ガシャッ!!
フェンスにぶつかって、球を捕り損ねた。
「ファール!!ファール!!!」
「お〜、危ねぇ〜!助かったぜ!!」
「今のはつまらされちまったな〜〜」
「惜しいな〜〜真芯で捕らえていりゃ軽くスタンドインだぜ」
いや…さっきのバットの音は…真芯で打った音だ。
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