#10 カード











『2回表 十二支高校の攻撃です。6番 センター・兎丸くん』


 頭に被るものを帽子からヘルメットに変えた兎丸が不敵に笑った。


「怖いな〜、あのノッポの投手。ゲームにもいないもん。

さてと。どーやって打っちゃおーかな」








「おーーー、ダブルチャンス打線の第二の矢ゆーとったんは、これかいな。

この回も充分得点期待できそーやなぁ」


 黒豹が頭の後ろで手を組む。どこか猫っぽい笑顔を浮かべた。


「そうすね。兎丸くんが本来のトップバッターすから。

でも、投手との身長差は最も大きいっすからね。それが気にかかるっす」


「汝の悩み、猫神様の有難いご神託により解決してしんぜよう」


「こ…この声は…猫湖さん…?」


 振り返ると、お姫様抱っこされてる猫湖とウナちゃん、それに、

巨大猫神様がいた。


「でか〜〜〜!!!」


本気のビックリフェイスで驚く子津を尻目に猫湖が大きな猫神様から降りる。


「今のは、猫神様のお父様…かも…。

今猫神様はお盆休みで、この子がピンチヒッター…かも」


 その手に持っているのはボロボロの犬?


「何か犬っぽ…とてつもなく可愛くないかも…」


 落涙する子津。


「お、何や何や、ちっこくてかわいな〜。

わいは黒豹いいまんねん。以後ごひいきに〜。これ、初回キャンペーンや」


 棒アイスを渡す黒豹。それを受け取る猫湖。


「1年マネージャー、猫湖さんっす」


「もみじ達とはぐれた…かも。…では、毎回恒例となりました、

子津忠之介の今日の運勢を占うかも…」


「わ゛〜〜!!結構っすよ〜!!」


 無視して占う猫湖。本人結構楽しんでいるように思える。


「出ました…かも…」


 カードを表にする。


「飢えや疫病に苦しむ人民の姿が…そして夜な夜な札束を勘定する貴方の

、欲にまみれた眼と下卑た笑いが見えますかも…。

ラッキーアイテムは、パッキーカード・偽造パスポート・

クシャクシャの万札・友達。

ラッキースポットは廃工場スラム街かも…」


「一体ボクが何したっていうんすか〜〜!!!」


子津は驚き顔と涙で一杯だ。

にしても…酷い人間の代表のような内容だ。


「感動したわ〜。この嬢ちゃんの占い、ドンピシャやん。よー当たるわ」


笑顔で手を叩く黒豹。


「こんなのデタラメっすよ!!」


 泣きながら叫ぶ子津。


からかい甲斐があるからやられていると気付いているのかどうか…

…気付いても同じだろうな。


「ボクの事はいいですって。そうだ!この試合の事にしましょうよ」


「お安い御用…かも…」


 猫湖がタロットカードを引いた。


「…残念ながら、この回はすぐに追い込まれる…かも」


「えっ!」


思いがけない言葉に子津は驚く。

「この試合の鍵を握るのは、3・4・8・9番打者。

良きも悪しきも、この4人がポイントとなる…かも…」


 試合を見れば、兎丸・司馬両名が三振。


「おわっ!ホンマや!連続三振やんか!」


「うっ、悪い局面で当たっても…。あ…あのっ、

この試合、最終的にはどんな感じっすか?」


 猫湖が息を呑んだ。


「…猫湖さん?どうしたんすか、黙ってしまって…」


「…いけない…」


「え?」


「この試合…止める事は出来ないの…大事なものを2つも

失ってしまうと出てる…かも」


 
風が、吹いた。

猫湖の柔らかい髪を優しく撫ぜていく。穏やかな風。

しかし、それは…。


















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