#06 初得点
『4番 ライト・牛尾くん』
アナウンスは球場に響き、牛尾はバッターボックスに立った。
「プレイ!」
一球目はカタパルト。
「ストライ〜〜ク!!」
超高角度の投法は、他のピッチャーではお目にかかれない。
さて、牛尾先輩はどうでますか?
「ストライクツーー!!」
「あ゛〜〜〜!牛尾さ〜〜ん!」「もう追い込まれちまった!!」
…お?牛尾先輩が獅子川先輩に合図を送っている。あれは…。
「いくか!!」
ピッチャーが投げた。それと同時に。
「ま…まさか!?」「クレイジーだZe!!」
獅子川先輩が走りだす。
「頼むぜ、4番さんよ。ここはキッチリ1点いただこーぜ!!」
球はお決まりのカタパルト。
「牛尾ォーーー!!」
牛尾先輩は振り子打法ではなく。
ガギィ
「スリーバントスクイズ。強打だけが4番の仕事じゃないものね」
2ストライクからのバントは、ファールした時点で終わる。
まだ1回表なのに、勝負に出ましたね。でも、だからこそ面白い!!
「打球は三塁ライン際だ!!」
ピッチャーが球を拾う。
「ヘッ!今頃飛び出したか。トーテム怪人ちゃんには、丁度いい奇襲だったろ?」
ピッチャーの背に近づく獅子川。そこをめがけて、腕が振られた。
「うわぉ!南無三ッ!!」
長い腕が、獅子川の上を通り過ぎた。
「ブリッジでかわした〜!!」
「あ…あッぶねー。もんなモン食らったら、即お陀仏だぜ!」
しかもそのまま走る!!ある意味、凄い!!
「ほッ!」
あ、普通の走り方に戻った。
「オラ〜〜!!これでホームが手薄になったぜ!!!」
「大和さん急いで!!」
ピッチャーはもたついていた。あれだけ大きな体では、小回りはきかないだろう。
ホームまであと1mちょい…って!!
「何あれ!後ろ向きになっちゃったよ!!」
「あ゛〜〜〜!!オレ様を差し置いて、これ以上ふざけんじゃねー!」
ホームへの送球がきて、キャッチャーが受け取った。
「オラアアア!!オレ流バサロキックスライディーーーーングッ!!」
「あれって水泳のドルフィンキックじゃん!!」
何の意味があるか分からないよ!!
その間に牛尾先輩が1塁にたどり着く。そして本塁では……。
「セ…セーフ!!セーフ!!!
十二支、一回表に先取点!!1−0!!!」
「キャ〜〜やりましたね!大会初得点ですよ!!」
「獅子川先輩!!ナイス!!」
私は凪と手をパンッと合わせて喜ぶ。
「獅子川さん!!ナイスガッツ!!」「あんな走塁、見た事ねーっすよ!!」
「主将もナイスバント!絶妙でした〜!!!」
初回からの初得点にスタンドの大歓声が球場に溢れる。
「オラーー!!テッメーら見たか!オレ様の生き様を!!」
手を振りまくってアピールする獅子川先輩。
「すげーっすよ!尊敬したっす〜〜!!!」 「これからは兄貴と呼ばせて下さい!!」
スクイズバントに成功した牛尾先輩も、1塁へ。だけど、次の鹿目先輩は3振してしまった。
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