#57 再入部
「行ってきまーす」
いつも通りの時間に家を出る。
さて、お猿君はどんな登場をするのかな。
昨日退部した猿野が又戻ってくるであろう事は昨日の剣菱のメールで分かっている。
あれで戻ってこなかったら男じゃないにも程があるだろう。
そして学校に着き、マネージャー達と着替えてグラウンドへ行くと
猿野が真ん中で正座していた。
そして…。
「オレにまた野球をやらせて下さい!!お願いします!!!」
猿野が土下座した。
「なんだコイツ。こんな所で何這いつくばってんだ」「いつものギャグか、これ?」
……ダメか…。
そう思って、諦めかけ、目をつぶったが、その時。
「オラ、早く着替えて来いよ」「朝練始まんぞ」
驚いて顔を上げる。皆、笑っていた。
「ったく、世話の焼ける野郎だ、お前はよ」
羊谷が退部届けをビリビリと破り捨てる。次の瞬間。
ヒャハハハハハハ!! ウヒャヒャヒャヒャヒャ!!! ヒャハハハハハハハ!!!!
「って、世の中そんな甘ぇワケねーだろ!!この中途退部ヤロ〜〜!!!」
「どのツラ下げて戻って来やがった!!このプチ引退ヤロー!!!」
「こんな健気アピールしたって、オレらは騙されねぇぜ!!」
ゴスッドスッバゴッ
トンボで4人に暴行され、一人に踏まれる。
「よくオッメオメと戻ってきたな!!さすがは永遠のライバルだぜ!」
「もっとやっちまって下さい!獅子川の兄貴!!」
バシュッ ジゴッ ガギィン
獅子川の球ガンが顔面命中。虎鉄の打った球が、腹にめり込む。
「わーい!兄ちゃん!!ぼくの涙返してよ!!!」
キイィン
兎丸の蹴りが股間にクリーンヒット。さらにウナギが顔に噛り付いた。
「テメーーー!!漢じゃねぇにも程があんだよ!!」
パキッ メキッ
もみじの関節技が炸裂。
「猿野くん!お帰りなさいっす!!」
ダゴッ
子津の投げた球が顔にめり込んだ。
子津!お前まで!!この世に神も仏もあるもんか!!
「ペナルティーその1。これから当分、ブリッジ姿で歩け」
「そんなエクソシストみたいな!!」
…ハァー。でもやっぱ、こんなのが落ち着くんだよなぁとブリッジしていたら。
ドゴォ。
「二度と面見せんなっつたろ、バカ猿」
犬飼に腹を踏まれた。
「とりあえず、テメーが戻って来たところで大きな戦力ダウンになるし、
うるせーし、キモイし。野球部の不良債権め」
「テメ!」
コゲクソトリアエズヘタレプププ犬め!テメーはやっぱいつかぶっころだ!
人のロッカーに煮豆入れやがって。
色々言いつつも皆猿野が帰ってきた事が嬉しいらしい。
「お猿君」
「!!」
やべぇ。今までの非じゃない位の恐怖が来る!!
猿野は恐怖で冷や汗をたらすが…。
「お帰り」
一言。
優しい微笑みと一緒に…それだけ。
正直、周りのやつ等も同じみたいだがその笑顔に見惚れた。
「おう!!」
俺は、その笑顔を返すかのように言う。
お前のお陰で、また戻ってこれた。アリガトよ。
「でも、当分は犬君や辰君と一緒に雄軍外れて反省してね♥」
今まで聞いた事の無い位女らしい声で言い切った。そしてブリッジをしながら俺は崩れる。
「さて、もう整備してあるからこれは放っておいて練習しましょうか」
「「「「オス!!」」」」
の掛け声1つで周りが動きだす。
野球部の指揮をとっていると言っても過言ではない。
野球部の支配者は監督でも牛尾でも蛇神でも鹿目でもなく
……なのかもしれない。
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