#53 理解
職員室前に着いた時、丁度猿野が職員室から出てきたところだった。
「お猿君!!」
は猿野を呼び止める。
「兄ちゃんいた〜〜〜!!」
兎丸もそれに続く。
「お…お前ら!!」
「兄ちゃん酷いや…ぼく達に黙っていなくなっちゃうなんて
…辞めないでよう。もっと兄ちゃんと野球したいんだ…兄ちゃんがいなくなったら、
誰がギャグやるんだよ……誰が皆から痛い目にあうの?
『兄ちゃんにいじめられたよ〜』
ってマネージャーさんに甘えられないじゃんよ……」
目に涙を浮かべる兎丸。しかし、最後の理由は如何なものか。
「いつもスバガキスバガキ言って、悪かったな。
お前はもうスバガキじゃねぇ。ませガキだ」
兎丸の肩に手を置く。
「兄ちゃん・・・」
「そっちの呼ばれ方の方が嫌だろ」
思わずツッコんでしまう。すでに条件反射に近い。
すると、隣にいた司馬がすっと前に出てMDを差し出した。
「おっ、MDか。いいのか?これもらっても」
司馬は首を縦に頷く。
司馬のユニフォームの上着の下から、あのイタチが出てきた。
「おおっ!こいつ、この前の迷いイタチじゃん。何だ、すっかり司馬になつきやがって」
イタチをえびぞり状態で持ち上げる。
「ハハハ!!にゅるにゅる伸びて動いてやがるよ。おもしれ〜!」
「その子ね、まだ名前がないんだよ。兄ちゃんさ・・・行っちゃう前に最後に名前つけてあげて。
って、シバくんが言ってる・・・」
「そーかそーか、今触って決めたよ。"ウナギ"でいいな"ウナギ"」
…ネーミングセンスの欠片も感じさせない名前である。
「ちょ・・・ちょっと!マンマすぎるよそれ!せめてひねろうよ!"ウナちゃん"とかさ!」
あんまりなネーミングに兎丸はストップをかける。
「ってことはウナちゃん決定か。猿野、せめて何で辞めるのか理由だけでも聞かせろ。
ハッキリ言って私はこの状況が信じられない…」
「……」
「答えてくれ」
なんで……そんな簡単に?!
「……俺は、野球をする意味を無くしちまったんだ」
そう言う猿野は何時ものフザケた様子は全く見せていない。
「……そうか」
私はそれだけ言って後ろを振り向き、元の道を戻っていった。
私は、お前を認めようと思えてきていたのに……。
……裏切られた気分で、肺が圧迫されているようだ。
「……悪い」
その呟きはの耳には入らなかった。
とりあえず、玄関へ戻ってきた。もう暗いそこには1つの人影がある。
「おお、来たか」
「石坂部長?!」
そこには帰ったはずの石坂がいた。
「、ちょっと付き合え」
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