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ドリーム小説
#50 今
「と、こんな風な事がありまして」
李燕が過去を話し終える。
ついでにゼノンの昔語りは話していない。
「が逃げるのは当たり前だ」「、お前本当に大変だったんだな…」
話を聞き終わった柿枝と石坂は完全にの味方になった。
「何言ってるんですか。この話の後、
正体不明の薬飲まされそうになったり、帰国しようとしたら拉致されそうになったり、
そっちの方がずっと大変でしたよ」
しっかり犯罪の範囲内だ。
「それじゃ、君も逃げたくもなるよ…。良く無事だったね」
その壮絶さに牛尾が冷や汗を垂らす。
「流石にやり過ぎなので私がストップをかけました」
李燕がいなかったらどうなっていたか、想像に難くない。
「今回は話をMsキサキから聞いて呆れてつい来てしまったよ。
、なぜこんな無名校でマネージャーなんて事をやっているんだい?
君程のPlayerがそんな事をやらなくてもいいじゃないか」
「なっ!!!」
そのレオハルトの暴言に頭に血が上るマネージャーリーダー柿枝。
「あんた!!がマネして何が悪いっていうのよ!!
こっちは本当にが入ってくれて助かってるんだからね!!」
声を張り上げてを庇う。
「柿枝先輩……」
「君は、の試合の姿を見た事はあるかい?
程のプレーヤーはall the world(世界中)を探しても10年にいるかどうかの人材だ。
それをDecay(腐敗)させるReal(現実)を知って、放って置く訳にはいかないサ」
「Mrレオハルト、何故でそこで決めつけるのですか。
君は練習にも参加しています。腐敗するなんて事は取り消して頂きたい」
牛尾も侮辱された事に腹を立て、言葉が荒くなる。
「Mrミカド、日本の野球では、High schoolのregular game(公式試合)
は女子は出られないそうじゃないか。そんな所に、を置いておけば
Decayしても可笑しくないだろう?」
「どれ程頑張っても、十二支が全国優勝しても、
それがさんの為になる事でしょうか?しかもココにはさんもいません。
彼女が本気でピッチャーをしているのを、この高校で見た事がありますか?」
思い当たる節がない。そう。この学校では1度もピッチングを見せていない。
「ここでは黒蝶は羽ばたけない」
「はここにいてはいけない」
……もう駄目。押さえ切れない。
「……ふ…け…な…」
「?」
話中もずっとの盾にされていた石坂は、
の呟きに唯一聞き取る事ができた。
「ふざけるな!!
どうしてお前にそこまで言われる筋合いがある?!
私は…今、ココにいたいんだ!!!!」
散々言われて感情を爆発させる。
その怒鳴り声は学校中に響いた。
「大体、レオハルトは私にの両親の面影を追っているだけだ!!
父さんも母さんもあなたに求めていたのは自分達がいなくても
他の理解者を見出せる強さを求めていたんだ!!
あなたは…自分がされて嫌だった事を私にもしている!!
私はソフトだけじゃない!!野球だけじゃない!!
それだけで私を判断しないで!!」
『そりゃ、ゼノンだって1枚岩じゃないんだからさ、沢山のパーツが
あって、その中にお前が嫌がっている部分があるだけだ。
でも、それもお前なんだ。それだけがお前でもない』
司……。
「レオハルト。の両親以外の理解者には…会えなかったのか?」
『ゼノンも自分の1面だけ見られているのが嫌なら人を敵と1面じゃなく、
他の面も見てみなさい。きっと自分と本気で話せる人がいるわよ』
沙耶……。
「私は…ココにいたいのに・・・
それでもココにいてはいけないのか??!!」
いかないで!!僕の居場所がなくなっちゃう!!
やはり、は貴方達の子供だ。あの時の貴方達に聡された事を私は忘れていた。
私は、自分が嫌だと思っていた事をにしていたんだな。
は、言いたい事を言って肩で呼吸する。その肩に大きな手が乗せられた。
「君、いてもいいんだよ。否、いて欲しいんだ。少なくとも僕や、野球部員はね」
「俺も牛尾と同じだよ。俺だけじゃなくて文芸部の人間は全員にいて欲しいよ」
「先輩達……」
「キャプテンと石坂先輩の言ってる事は本当だぜ」
「とりあえず、いてくれ」
「?!お猿君に犬飼君??!!」
「僕も賛成〜」「(コクリ)」「僕はさんが大好きっすよ」
「つーか、いて悪い訳ねーだろが」
「もみじに賛成かも…」「ちゃんは私達に必要です」
「レオハルトとかなんとか。が十二支にいたい言っているのに
無理強いするのはよくないのだ」
「有無。我等は殿を好いておる。それを疑わせるような発言、撤回してもらいたい」
「HAHA〜N。お引取り願うZe」「ちゃんが必要なのは俺等も同じっちゃ」
「皆……」
ぞくぞく人の山から出てくる知り合い達。
嬉しい。私は…認めてもらえてるんだ…。
ピピピピピピ
折角の良い場面を壊す電子音。
発生場所は李燕から。
「タイムアップです。ゼノン仕事に戻りますよ」
「OK。でもちょっと待ってくれ」
つかつかとに近づく。
体を強張らせる。その進行を阻もうと、犬飼と司馬、猿野が前に出る。
「に近づくな」
レオハルトを睨む犬飼。
「Don't worry.危害はくわえない。元々そのつもりでやっていた訳じゃないんだ。
一言、に謝りたい。私は君の安全を最優先に動いていたつもりだったんだ。
が本当に日本で無事か心配だった。でも、無用な心配だったね。
怖い思いをさせて悪かった。力になれる事があったらすぐに言って欲しい。
私は私の最愛のFriendの教えを思いださせてくれた事に御礼がしたいからね。
は僕の娘同然だ。私は君が沙耶のお腹の中にいる時からが生まれるのが
楽しみだった。その子がこんなに良い理解者達に会えた事を嬉しく思う」
「レオハルト?」
始めて合った時から追いかけられた記憶しかなかった。
でも、本当は自分の為だと知って、驚きを隠せない。
「でも、に私のチームでPLAYして欲しいのも真実なんだ。
は、世界でNO1のPlayerになるのも夢じゃない。
だから真剣に考えて欲しい」
『サンライズ』太陽のように明るい者達。
が入ってくれば、もっと素晴らしいPlayを世界に送れる。
「さん、貴方はいつか日本が狭く感じる日が来るでしょう。
だからこそ、真剣に考えて下さい」
そして、あの時と同じように2人は教室を出ていった。
その後は、嵐が去った後のような静寂が教室を包み込む。
キ――ン コ――ン カ――ン コ――ン。
の、長い昼休みは終わりを告げた。
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