#49 危険の発覚






その頃は、大きな窓のある部屋で2人の人物と向き合っていた。


「…で、私は何故ここに連れて来られたんですか?

李燕さん、ゼノン=レオハルトさん?」


語気を上げてが聞く。行き成り拉致られて閉じ込められるなんて冗談にもならない。


「『君と、ゆっくり話がしたかったからだよ。』」


ゼノンが答え、李燕は其の侭も言葉で通訳する。


「『私が今回君達を家に招待したのは、君のためだ。

、此の侭アメリカに残るつもりはないか?此の侭私の元で、

私のチーム『サンライズ』で世界を狙ってみないか?』」


冗談と、言ってしまいたかったが、2人の目を見れば、その違いなんてすぐ分かる。


すぐには言葉が出て来てくれない。だが、答えなんて最初から決まっている。

「御免なさい。私は日本にいたい。

それに私はまだ中学1年の、12歳の子供…勧誘には些か気が早すぎでは?」

が紡ぐその言葉は、世界なんて考えてはいない。

ただ、自分の認めた人達とグラウンドで共に強者と戦いたい。

その思いを2人に伝えるだけだった。

レオハルトは1つ喉をクッ。と鳴らして笑い、に詰め寄って抱きすくめる。

「『…でも私は君を諦める事はない。君という存在を私のものにしたいからね』」


今の状況を理解できないで呆然としているの唇に軽く、自分のそれを触れさせた。

が、その瞬間に

ドスッ!!

がレオハルトの胸の中心を手を重ねて勢いよく押す。


「っっつ!!急にを何する!!」 


やっと正気を取り戻したは顔を真っ赤にして屋敷中に聞こえるほど叫ぶように言う。


「『ッ痛。酷いな。私はに選手として以外にも興味を感じているだけさ。

沙耶と司の良い所も悪い所も絶妙に合わさった君にね』」

「なんで、の両親を?!」



「『彼等は素晴らしい獣医とAHT(患畜看護士)だったね。

彼等はペットどころか僕の心の傷を治してくれた。名家・財団・俳優。

人が羨ましがり、僕の事はそれだけにしか見ていなかった。

なのに彼等は違った。僕を色眼鏡無しで叱って、悩みを聞いてくれて、救われた。

でも、彼等はずっと僕の傍にいてくれなかった』」









『イヤだ!!君等がいなくなるなんて!!』


短い間なのは知っていた。たった3週間。

でも、司と沙耶は僕の中でとても大きな存在になったいた。

ずっと一緒にいて欲しかった。

兄と姉と慕った人が遠い国に帰ってしまうのは耐えられない。

また、敵だらけの世界になってしまう。


『ゼノン。お前は俺等無しでも生きていくんだ。

大丈夫。お前なら出来るさ。それにまた会えるよ』


司は僕の好きなさっぱりした笑顔で僕に笑いかける。


『いつかお腹の子供連れて遊びに来るわ』


沙耶はまだ膨らんではいないが、新しい小さな生命の入っている

お腹を優しく擦りながら、綺麗で暖かい笑みで僕を安心させる。


『いつか……また会おう!!』

意地を張った、最後の挨拶。

『ああ!!』『がんばってゼノン』








最後の言葉。
















その約束は果たされる事は永遠にない。

















「『数年後、彼等の訃報を聞いてどれだけ悲しかったか。

でも、彼等のただ1人の娘で、しかもあんな素晴らしいPLAYをするなんて…』」







彼等は、最後の約束も、半分だけど守ってくれたのか。

この少女は……本当にあの2人によく似ているよ。







「『だから僕は、君が欲しいんだ。今すぐは無理だろう。でもいつかはその日が来る。

それは覚悟しておいてくれ。いこうか李燕』


『はい』 










2人は部屋を出ていく。



すでに日も落ち、暗くなったそこに残されたのはのみ。



は忍と琴美が来るまでそこに蹲っていた。















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