#34 力の片鱗
「選手の交代をお知らせします。5番、ファースト・虎鉄くんに代わって、さん」
アナウンスを聞いて華武も騒がしくなる。
「さんが出りんグするの?」「また監督の余興か?」
「でも、今までより手ごたえありそう気(>▽<)/」
「帥仙のダイバースクリューを初見で場外に持っていくような奴だ。…何かあるぜ」
1度、見せられたの力量。
その力に好奇心を持つなと言うのは無理な話だ。
「面白くなって来たじゃねーか」
御柳の膨らんだガムが割れた。
『私の打席の間に、五光のタイミングを覚えろ。それまで踏ん張ってやる』
はそう言って、打席に立った。口調が変わっている。真剣だ。
「そんなの無茶だぜ、猿野!!」
「うるせー!言ってる場合じゃねぇんだ!!」
そろそろと、バッターボックスの後ろのフェンスへ回りこむ。
「抜き足、さし足」
そろそろと近寄っていたが。
「千鳥足」
ガゴッ
落ちたー!!
「いや〜〜、バックネット裏にエロ本が捨てられている、
って噂を耳にしたもんで!うわ〜〜〜、ゲッツゲッツゲッツ!!」
見え透いた嘘を…。
「せっこーーー。そんなトコから盗み見なんてさ」
朱牡丹が笑う。
十二支の全員が引いていた。
「ブハハハハ、まさに鼠じゃのう。まあ好きにしとれ。
屑の字の球は、そんな事で攻略されるヤワなもんじゃねぇ」
屑桐が、構えた。
来るか。
球をバットに当てるが、ファール。
「成程。カットして球数稼ぐ気け」
「そういう事です」
「じゃが、屑の球はカットするのも一苦労じゃろう?」
「ええ。本当に重くて厄介な球だ」
だからこそ楽しいけど。
ファール。ファール。ファール。またファール。
「ほ〜〜〜。帥仙の時も驚いたが、ここまでやるとはの〜」
「それはどうも。でも、まだまだ終る気はない」
言葉ではなく、余裕の笑みを浮かべて返すと、屑桐を見据えた。
その体の動きの一つ一つを、目に刻み付けて。
「も随分粘る気(~_~;)」
続くファールを見飽きたのか欠伸をする朱牡丹。
「さんにはあ゛の屑さんの強力な迫力を
平然と受け流す力がありングから中々終らないんだべ」
久芒が鼻をかむ。
「ま、並みの選手じゃない気なのは知ってたけど〜(-"-)」
「屑桐さんの球を余裕でカットし続けられる奴がいるとはな。
本当には何者だよ」
また御柳のガムが割れた。
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