#33 菖蒲監督の思いつき





俺達は、羊谷の所へ集まった。



「ここで、最後の作戦会議に入る。作戦のテーマは"看護疲れ"」


はい?


「責任感の強い人は、

とにかく何でも背負い込んでしまいますが、老人介護においては、

頑張り過ぎない事も時には大切なのです」


「今は試合中だよ!!」


確かにそれもとても大切だけどね。今は全く関係ないじゃない!!


「おばあちゃん…僕を置いて死んだらイヤなのだ。僕がずっと面倒みるのだ」

泣きながら監督の話を聞く鹿目先輩。

「ほっぺ先輩?!」

意外な鹿目先輩の反応に驚く猿野。




「確かに今の戦況で、十二支サイドには課題が山積しております」

辰羅川が立ち上がった。


「屑桐氏の五光の前に、現在までに7連続3振。

次のバッターが、この試合の大ブレーキ・虎鉄先輩と、越前ガニ」


カニ!?


「その上我が野球部には800万の借金があってな」

「そんなの私が出す訳ないでしょ」


部費は全部私が管理してるんだから。


「何ショボくれてんだ!!試合はまだ終わった訳じゃねーだろーが!!

あと1点で追いつくんじゃねーか!!

大体テメーら、俺からしたらガッツもやる気も実力も色気も全部足りねーよ!!

雲の上で見守ってるネズッチューも悲しんでるぞ!!」


「子津君、死んでないから!!」


子津君マジで来て!!私はもうツッコミ疲れた!!


「1点追いつくってなったら、やっぱりホームランか…」

「牛尾さんでもできなかったのに、一体誰ができるってんだよ!」


え〜 ゴホゴホ エッヘン ゴホ え〜、ゴホ


…お猿君。何わざとらしい咳払いしてんの。

どーせ俺がいるとか言いたいんだろうけど?




「じゃ、行きますKa」「あい。行かれますか」

「待つ故」

唐突な言葉に振り返る。そこには華武ベンチにいるはずの菖蒲監督が立っていた。


「「「「「「えっ!?」」」」」」」


十二支全員が訳が分からないといった顔をする。


「何かありましたか?」


もうツッコミに疲れたよ。

だからどうやって急にここに現れたかはもう考えないで置くよ。




、お主、試合に出てみぬか?」




「…………………………はい?」


菖蒲監督、今あなたなんとおっしゃいました?!
 

「えーどう言うことだか説明して貰えますか?」


監督が尋ねる。


「何、が試合に出たほうが面白そう故


「またそれか!!」

「嫌なら構わん。だが我が高のエース屑桐と黒蝶と呼ばれたの対決。興味ないか?」

「うっ」


言葉を詰まらせる。ハッキリ言って私にはとても魅力的なお誘い。


「よし、

行ってこい」


「ええ?!そんな簡単に言って良いの?!」


「おう!!」

「返事早!!」


やっても良いんだったらホントにやるぞ!!

……でも。


は出番を奪うことになってしまう虎鉄に振り返る。


、行ってこいyo。俺はかまわねぇSa…」


虎鉄は苦笑気味にに次を任せた。


「……有難うございます。着替えてくるので少し待って下さい」
















そして、私は十二支のユニフォームをまとってグラウンドに戻った。


「試合前にはお前らにこの試合負けて元々と言った

…だがな、それはあくまで全うな勝負での場合だ」


監督の言葉に耳を傾けるレギュラー。



「向こうが都合いいようにルールを捻じ曲げられ、あまつさえハンデまで与えられた。

最早十二支に対するこの偏見を取っ払うには、チームの勝利しか無いと思っている。

華武打倒まで後一歩。お前ら二人まで、全て三振で来ている屑桐に対して、

チマチマ連打での攻略は望めない。後1点だ…ここはデカいのをねじ込む以外あるまい」




羊谷が、人差し指を立てる。


「お前等は、一発を狙っていけ」



が不敵に笑った。



「いいか、カッコつけんじゃねぇぞ!

最後までみっともなく足掻き通してみせろ!それが十二支の意地だ!!」

「はいよ!」「はい!!」



と猿野の声が重なる。


ここから巻き返してやる!!













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