#28 真打登場
「華武高校、選手の交代です」
2軍以上に余裕たっぷりだな。
2軍がベンチへ戻る。
「よっ、お疲れさん」
立ち上がった1軍が、2軍を迎えた。
「何てザマだ、お前らよ〜〜〜。相手は名も知らねートコだぞ」
「面目ねぇ」「敵のピッチャーの球に意外に手こずって…」
土まみれの2軍の表情は硬い。そこへ、菖蒲監督が近づいた。
「ホホホ…2軍の諸君。半限を課してこの点差に抑えた事、真にご苦労と言いたい所だが…」
軍配を2軍に差し向けた。
「この華武の名を語れるのは、勝利の2文字を掲げてこそ。
よって、全員3軍降格を通告する。即刻このグラウンドより立ち去れ」
2軍の表情が絶望に染まった。
「うえ〜〜〜、3軍行きかよ。監督も容赦ねーぜ」
「まあ当然だ。あんな馬の骨からも点を奪えんのだからな」
ベンチに座る帥仙に、屑桐が近寄った。
「バカめ…己を過信するからこうなる。仮にもあれとがいる高校だ」
牛尾は知らないだろうが、俺達はの秘めた強さを垣間見たはずだ。
「うるせぇ。フン…今更言い訳はしねぇよ。
屑桐…必ず返り咲いて、貴様からエースの座を頂くからな」
袖をまくり腕につけたパワーリストを投げ捨てグラウンドから立ち去っていった。
「うおっ!帥仙先輩、こんな重た気なもんずっとつけてたのかよ。スゴ気〜〜(@_@;)」
「フン…彼奴等のいる学校相手にハンデを背負うには、10年早いな」
「せ〜〜んぱい。ほーら言ったっしょ〜2軍共じゃ、あの球はムリだって」
御柳が、さっきのダイスを放り投げた。浮いたダイスを掴み取る。
「そうだな…だが、オレ達なら造作もねぇ事さ」
「さ〜〜て…2軍のケヅ、ぬぐいングに行くべかな゛」
久芒が鼻水をかんだ。
「7回裏、十二支の攻撃ですが、華武は全選手交代の為、守備配置を再度発表します」
総入れ替え。つまり全員1軍か。これからだ。これからが、本当に面白くなる。
ファースト・魔藤。 セカンド・萩之月。
ショート・久芒。 サード・御柳。
センター・朱牡丹。 レフト・紅葉。
ライト・菊尼。 キャッチャー・桜花。
ピッチャー・屑桐。
「7回裏。7番、キャッチャー・辰羅川くん」
辰がバットを握った。
「いけ〜〜!モミー!!恐れるな!!
オレがあん時対決した限りじゃ、2球目で当てられたぜ!!」
「うむ…確かにあのレベルなら2球目と言わんまでも
今の十二支なら攻略不可能と言う訳でもなかったぞ」
「それは違います監督。屑桐さんの球は、あんなもんじゃないんです。
じゃなかったら辰君は病院送りでしたよ」
屑桐が構える。体を捻った。
「上体をあんなに捻るのか!?」
「おめでたい連中だよ。1回投げてもらったくらいでイイ気になってさ〜(∩^)」
携帯をいじっていた朱牡丹が笑った。
「屑桐、いいぞ。今日は久々にワシが捕るけえの。全力で来いや」
桜花もニヤリ、と口の端を吊り上げた。
何だまるで違う!あの時とは…この吸い込まれそうな気迫…。そして戦慄は…
辰羅川の足が、恐怖で震えている。
屑桐が投げる。
「あの時の球はまるっきちウソんこさ。
接待用ってヤツ?(^3^)/ こっちがホントの屑桐先輩の球だよ」
犬飼くん 私はあなたに夢を見ました…
あなたの球を始めて受けた時からその球に心奪われました…
あんな球は始めてだった
全国だって可能だと思えた それは まるで夢の様だった…
だが、この球はまるで……
速い。そして…
ドゴォッ
凄まじい球威。
辰羅川が腰を抜かした。
「ストライーーーク!!」
すべての球児の夢を食らい尽す 夢魔のようだ
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