#19 華武との試合







私立・華武高等学校校門前。遂に戦いの日が訪れた。



「全員揃ったな」


「「「はい」」」


「では、これより華武に討ち入りする」




負け戦覚悟。蛮勇を見せてやるか。







「なッんだこりゃあ?バットか?えらくいっぱいあんな」

グラウンドへ向かう途中、獅子川がそれを見つけ、近寄る。

「全部イカレちまってる!」「これじゃ使えねーわ!勿体ねぇ事するぜ!!」

「誰だ!こんなバットをオモチャにしてんのは!?」

「しッかし、これどーやって折ったんだ?ん〜!!ダメだ、曲がんね」

諦めて山に戻した。

「わざと折ったものじゃないよ。聞いた事がある。

強打・華武の逸話を、そのあまりに過酷で強烈なマシンバッティングは

人より先に道具の方が悲鳴を上げるという…」

牛尾が、折れたバットを手に取りながら語る。

「つまり、このバット達は…練習で折れたものって事か?」

「そう…ここは、強打に晒され朽ちていったバット達の墓場だよ」

「これ全部が!」「どこまで使い込んだら、金属バットが折れるってんだよ!!?」

騒ぐ遊軍の面々。…あれ?

「監督、犬君と辰君が見当たりません」

「何?しゃーねーな。探しに行け」

「了解」

まさか、御柳君に喧嘩売りにいってないよね。





はこの段階では自分の予想が当たっている事に気付いていない。













「犬飼くん!!なりません!騒ぎを起こしては!!」


あ、辰君の声だ。思ったより近かったな。


「黙ってろ。こいつに話がある」


…また、超険悪ムード。何華武とケンカしまくってんのよ〜。

また、隅から見守る形を取った。



「ひょっとして、オタク十二支の奴じゃん。

何、もしかして迷子になっちゃった(‥三‥)?」


「どけ、ガキ…そこでフーセン膨らませてる男に用がある」

「ウヒャ…もしかして俺って今、ケンカ売られてる気?(^.^;

御柳〜、お前の知り合い?なんかすっげー無礼気だぞ、コイツ (^・^;」



しかし、その表情は余裕そうだ。



「ってゆーかこいつ、野球部ですらねーっスよ…野球を捨てた負け犬だ」



その言葉に眉を細める辰羅川。


「ここはテメーみてーななんちゃって野郎がノコノコやってきて良い場所じゃねーんだよ。

とっとと帰って、下手投げのお遊戯の世界で楽しくやってくれや」


「黙れ…クソ野郎。オレはテメーのそのニヤけた面を
ブチのめすために舞い戻ってきたんだ…」


犬飼の横をすり抜けていく御柳。


「ケッ…忌々しいその眼…そういう事か…。あの頃と何一つ変わっちゃいねぇ。

お前、いまだにあの夢見野郎の影を引きずっているのか」


「御柳君!口を慎みなさい!!」


「辰羅川か…テメーもいつまで金魚のフンやってんだ。
ウゼーんだよ」


再びガムを膨らませる。


「なっ!?」

「御柳ィ!!テメーが…
…テメーがあの人の事を口にすんじゃねェ!!」


「あいつはとんだ大ボラ野郎だ。さっさと忘れるこったな」


「黙れ!!殺す!殺してやる!!!」


やばッ犬君がキレた!!



「犬飼くん!落着いて下さい!」

「犬君、落ち着きなさい!!」




は物陰から出て来て犬飼の後ろに回って急に

……抱きついた。




「「(さん)?!」」「?!」「「「「!!??」」」」」



先程とは打って代わって顔を赤らめさせる。


辰羅川と御柳、華武レギュラーも急に思わぬ人物が現れたことにも驚いているようだ。


犬君は急に女子に抱き付かれたのが恥ずかしいのか顔真っ赤だ。


いや、予想通りの反応してくれるなー。


だからやったんだけどさ。



人間って急に吃驚する事されるとストッて感じに落ち着くもんだ。


しゃっくり止める原理みたいにね。お猿君もこれで止まればいいんだけど……無理だね。

悪乗りするだろうし、なにより凪に悪いや。





もう大丈夫と思って犬飼から離れて前に回る。


「犬君、他校で暴れるの禁止!これから試合するってのに謹慎になりたくないでしょう。

御柳芭唐の口車乗せられてどうするのよ。見返すなら試合で見返して!!」



「って俺等無視かよ!!」


ああ、その通りだよ。全くあの人が誰だか知らないけど、私まで気分悪いわ。


「ってことで戻るよ、犬君、辰君」

2人の手を掴み、後ろを振り返るが。

。無視しないでくれよ」


御柳に肩を掴まれ止められてしまった。


「御柳!!から離れやがれ!!」


「馬鹿犬は黙れや!!」

「ったく、この前といい、今日といい、華武の皆さんは私を怒らせるのが非常に得意だね」

肩に置かれた手を払いのけながらため息と共に言う。

「……俺、何かしたか?」


自覚無しかよ。


「私はあんた等の言うあの人は知らないし、関係しようとも思わない。

けど言っておいたよね?

……私はソフト出身だよ。下手投げ得意だよ。

それをお遊戯の世界ですか。へー」


は30cm近く違う身長の奴を睨みながら言う。


御柳は固まってしまった。


「御柳゛……」「ミヤが悪い気(>Д<;)/」

「それでは怒るのは当たり前だろう」


「そっそれはに言ったわけじゃなく馬鹿犬に「それでは試合、宜しくお願いします」


弁明しようとする御柳に見切りをつけ他の華武レギュラーに挨拶だけして


私は2人の手をを引っ張るようにその場を後にする。

その場には打ちのめされた御柳と嵐を体験して呆然とする華武ナインが残された。

















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