#15 特訓
華武と七橋へ行ってきたのは昨日。
地獄ロード開始から10日経ち、5試合を消化し切った練習後のミーティング。
「え〜〜〜、ロード開始後5戦全勝と、
投打に渡りひじょ〜〜に好調で、まさに最高のスタートを切った。
だが、一つだけ問題があるわけなのだが」
監督はわざとらしい咳払いを連発する。
「というか、その一つが大変重大で頭を抱えるべき事態だ。
…奇跡的なホームランを打ったかと思えば、エラーを連発。
極めつけは毎度毎度他校との乱闘騒ぎ」
グラウンドにいる部員全員の視線が猿野に向かう。
「猿野天国。現在、29打数 3安打 2本塁打 14エラー 打点2 打率0.103」
練習試合の記録を私は読みあげる。
これはありえないでしょ。
「猿野、お前真面目に野球する気はあるのか?」
「何いってんすか〜、やる気なんてバリバリあるっすよ〜。
見て下さいこの格好を〜、夜露死苦〜みたいな〜」
「間違いなく野球を馬鹿にしてる格好だね」
それ、一昔前のヤンキーじゃない。
「喝―――――!!!」
「ムギャ〜〜〜〜〜〜!!!」
蛇神の卒塔婆アタックが猿野の頭へと炸裂。
「蛇神先輩がキレた〜〜!!!」
温厚な蛇神がキレたことは部員全員が驚く。
「監督の話は真面目に聞くべし」
「しーましぇん・・・」
部員のほぼ全員がため息を吐く。
「蛇神先輩ご苦労様です」
「若・・・ごくろー。次ナメた口叩いてみろ。
テメーはサード更迭だ。獅子川をレギュラーにするぞ」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ〜」
「だったら少しは真面目にやれ!!」
毎回、毎回謝ってるのは私と監督なんだぞ!!
*
「で?2人の守備の成果はどんなもんなんだ?牛尾、」
監督に呼び出され、聞かれた内容だ。
「ハッキリ言ってまだまだ下手ね」
「一応成果は上がっているのですが、圧倒的に時間が足りません」
2人は同時に度合いは違うが似たような回答を出した。
「私は情報関係以外でも子津君の方や賊軍も見なくちゃだから
あまり2人だけに構っていることは出来ないです」
現に今までは練習試合を渋っていた学校からも
手の平を返したように申し込みが来てて結構大変な状況だ。
3人で話し合った結果。
2人は強制活、強引な練習を牛尾先輩宅で行う事になった。
私もできうる限り、放課後練習は牛尾先輩宅に付いていき、
学校練習は他の人達のバックアップに専念。
残りの練習試合8校は目星はつけてあるので
監督が電話をしてくれれば済みそうだ。
「後は、マネージャーと報道部に応援要請してきます」
「君は4人と一緒に先に行っていてくれないかい?案内は付けるよ」
「了解しました。でも、やっと少しはデスクワークから開放されるー!!」
「ご苦労様」
牛尾は微笑をしながら労う。
「ウチの野球部は何故か副顧問がいなくてその分の仕事もやらせてたからな」
これでやっと練習時間が沢山取れる!!
昨日の3校を見て、野球がしたくて堪らなかった私
は鬱憤を晴らすように練習に没頭していく。
*
そして、練習終了後、牛尾先輩の家に行き、2人のシゴキを開始。
「沢松君もっと電流上げてみる?」
「おう!!ドンドン上げちゃってくれ!!」
「OK。凪は治療用意してて」
そう言って電源のボルト調節をする。
サードが最大の守備の穴。
この2人が間に合わない場合、牛尾先輩にサードに戻ってもらうことも考えよう。
「バッティングだけじゃ試合には勝てないさ」
ボールを打ちながら呟く。
さあ、予選まで間に合うか?!
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