#14 黒撰高校




最後締め括りは黒撰校。

丁度良いからお義父さんに作るよう頼まれてた書類を渡してしまおう。

うちの家族は機械オンチばっかだからなー。








 黒撰校は家からも近いので直に着く。

グラウンドまでの道のりも慣れたものだ。

そして、練習している野球部でも頭が1個以上高いから
直に見つけられるお義父さんはある意味、有難い。

「お義父さん」

私は小走りで近づく、それに反応してお義父さんは振り返って私を見る。

「おお、じゃないか。どうしたんだ?」

「今日は他校周りだったから、
この前言われた書類渡した方が良いかなって思って。はいこれ」

 書類を入れた封筒を手渡す。

「おお、スマンな!もうすぐ終るから待っとれ」

「はーい

――!!!!」

ドカっとユタがまた突然突っ込んできた。

今回は隣にお父さんがいて避けられなかった。

「ユタ。急に体当たりして来ないでよ!!」

少しくらい文句言ったって罰は当たらない。

「だって、俺が高校入ってが黒撰来るのって始めてじゃん!!」

「そりゃそうだけど」
「おう!!ちゃんじゃんか!!ピーと久しぶりだな!!」

「これはこれは、むさ苦しい部員の中の唯一の輝きである
この僕、緋慈華汰に会いに来てくれたのかい?」

1人は金と黒の斑髪でピー音の小饂飩さん。

もう1人は魚の骨を咥えた緋慈華汰さん。

「こんにちは。小饂飩さんに緋慈華汰さん。今日は部活が外回りだったので寄ってみたんです」

「えーちゃん俺とピーするた

「何を言ってんだうどん先輩!!!」

「小饂飩!に手を出したら
唯では済まさないと言ったであろう!!!」

 ユタが小饂飩さんから私を離し、
何処からともなく出てきた魁兄が小饂飩へ詰め寄る。

手に持つ球は今にも高速で投げられそうで小饂飩は冷や汗を垂らす。

「魁兄、ユタ、やりすぎでしょ……


「皆…何メンドクサイことしてんの?」

もう少しで小饂飩が死にそう…っていう夢を見たよ。
ちゃん、久しぶりだね」

争いに巻き込まれないよう退いていたら
今度はいつも鼻ちょうちん作ってる烏兎さんと
ネガティブオーラと怨霊だしまくりの半ズボン少年が出てきた。

半ズボン少年は是非蛇神先輩に会わせてみたい!!

「烏兎さんこんにちは。隣の君は見たことないね。1年生?」

「……そうだけど、あんたは?」

「彼女は。魁とユタの妹…ていう夢を見たよ」

「夢じゃなくても義妹ですから」

「ふーん。俺は沖草次。2人に妹がいたんだ」

「まあね」

「よーし今日はこれで終了だ!!」

「「「「オス!!」」」」






「魁兄。片付け手伝うよ」

待ってるのはつまんないし、1人、何もしていないのは気分的に悪い。

「そうか?スマンな、では拙者と共にカゴを倉庫に運んでくれ」

「あいあいさー」

「俺も行くぞー」











「…てことで、華武とセブンブリッジに訪問してきたよ」

魁兄、ユタそして私は倉庫に向いながら今日あった事を魁兄に報告する。


「お前はまた無茶をする。由太郎程ではないが、もう少し落ち着け」

「兄ちゃんひでぇ」

「だってさ魁兄、あんな強い人が目の前にいて、
戦いOKしてくれたんだから、やらないと損じゃない」



負けるかもしれない、自分より上の相手と戦う。

それほど緊張し、闘争心が燃え、歓喜するものは私の中には存在しない。




「そりゃそうだけどな〜」「……気持ちは、分からないでもないがな」




また排除する敵が増える(じゃん・ではないか)。



2人は心中で同じ内容を思う。確かに外見は似てなくても血を分けた兄弟だ。


「でしょ?私は公式戦に出られないんだからこう云う所のチャンスは逃せないもの」



この頃、また野球を始めてよく思う。

…私も、公式試合のマウンドに立ちたい。

私も皆と一緒に戦いたい。



「やっぱり、野球はいいね。ソフトも好きだけど、ここまで
強い相手はそうはいなかった」


の事がなくても、私は中学でソフトを辞めてたかもしれない。

あそこ、ソフトでは私達よりも強いチームはいなかった。

頂点じゃ、イヤ。私は自分より上の人間を越えるのが好きなの。






は、黒蝶は異質な程の強さを誇っていた。

そう、それは日本を越えて、世界ででも…

女子だけのチームでは、力が違い過ぎた。



物足りなさ。


それが無意識に始終付きまとっていた。








1度は、魁兄やユタから離れてみようと踏み入れたソフトの世界。

私は、自分のレベルが知りたかった。

……私は、兄弟以外でライバルが欲しかった。分かりあえる友が欲しかった。

それは、叶えられた。が、自分の手で壊してしまった。






「さてと、これで片付けは終わりだよね。お義父さんが待ってるから早くいこうか」


淀んだ心とは裏腹な晴れたた笑み。

そして倉庫の扉を開く。


ソフトをするまで魁兄とユタに頼りきって生きていた。

ソフトで、兄弟以外に私を信じてくれて本気で話せる人に会えた。

十二支で、同じように仲間と呼べる人達に会えた。


彼等には本当に感謝している。

色眼鏡なしで私を見てくれる人達。嬉しかったんだ。

だから彼等をもっと強くする手伝いをしたいんだ。

それが、私のやりたい事。今までの考えとは違う自分。









NEXT