#05 過去の残したもの
「子津。ちょっと付いて来い」
練習中、ついに監督からの呼び出しがかかった。
「は、はいっす」
子津はは監督の後に着いていく。
はそれをみて、球とグローブを持ち出し、後を付いていく。
着いたのは、誰も通らない校舎裏。
「か…監督。こんな所に呼んで何の用っすか?」
ついに、ピッチャーから外されるのか…。
子津は最後の覚悟をして、監督に問う。
「どうだ子津。友達の何人か遊軍入りを果たして悔しいか?」
子津は何も答えない。
「お前は前の試合ですべてを失った。もう失うものは何もない。
どうだ…どんなリスクを背負っても新たに道へ進み出す勇気はあるか?」
思わぬ問いかけ。しかし、このチャンスを逃す手はない。
「は、はい!!」
その思い切りの良い返事を聞いて、監督はにやりと笑う。
「だとさ、。決意は固いらしいぞ」
「え?」
その名前を聞いて、子津は後ろを振り向く。
「うん。良かった。これであれを教える事ができるね」
は物陰から顔をだし、子津に近づいてファイルした資料を手渡す。
「さん・・・これは!!」
その資料に目を通した子津は驚愕した表情になる。
「そう・・・とうの昔に絶滅しちまった過去の産物さ・・・みせてやろう。
かつて十二支を黄金期に導いた1羽の燕を・・・」
監督は髪を縛り上げた。
「はい、監督」
は持っていた球を監督に投げ渡す。
それを監督は受け取って、投げた。
それは、地面に付くかと思うほど低く、そして、急上昇した。
ガコーーーン
子津は、驚きで開いた口が塞がらないようだ。
投げられた球を拾いあげる。
「どうだ、これが十二支を黄金期に導いた1羽の燕だ…」
「い・・・今のはまさか・・・監督貴方は一体?!」
「ただの妻子持ちの万年酔っ払いセクハラ親父でしょ」
「、後で覚えてろよ…」
「嫌だな羊のおじちゃん。羊のおばちゃん達にあれこれ言いますよ?」
・・・その脅し文句に冷や汗をかく監督。
「ま、まあ俺のことなんざどうでもいいだろう。
この燕を投げられるのは俺との2人のみ。
お前の指導はが主にする事になる」
「ええ?!さんも投げられるんすか?!」
「うん。私のはソフト用に改造してあるけどね」
なんの事でもないと言った風に答える。
「こいつが完成した暁にはお前はこの夏の切り札となる…。
ただし、道は遠く、険しいがな」
「は・・・はい宜しくお願いします!!!」
「頑張れ子津君。
これからは子津君はのそのファイルで特別メニューになるから」
「はい。よろしくっすさん」
「うん」
練習終了後のミーティング。
「地獄ロード最初の対戦校は音瓶校。
遊軍及び当番に当たるマネージャーは10時に音瓶校の校門に集合です。
賊軍は11時集合。
場所が分からない人は練習後、私の所に地図を取りに来てください」
「今回の敵、音瓶高校は前大会で、ベスト16に入った中堅クラスの学校。
昨年の十二支では歯が立たなかった相手だ」
初戦から音瓶高校か…
牛尾が少し緊張した面持ちになる。
「明日は、新生十二支門出の試合。相手がどんな強豪だろうと、
弱小だろうと、慣らし試合は一切しない公式戦さながらの絶対勝利の精神で行く。
敵はエースの別紅を主とする守りのチーム。対するこちらの作戦は…」
「というわけで以上だ!てめぇら明日は遅刻すんなよ!」
「「「「「「はい!」」」」」」」
「一応言って置くが、練習試合にを出す。
これは相手校の情報錯乱と本人の希望だ。文句は言わせん。
その時はは村中と呼ぶように」
やっと野球が出来る。嬉しくってしょうがない。
「ん?牛尾、って誰ッだ?」
「監督の隣にいる子だよ。
彼女はハイレベルなプレーヤーだから監督補佐もやっているのさ」
「ああ。さっきのスゲエ蹴りの女ッか」
「が出る?」「別に文句はないよな」「俺等より強いの知ってるし」
「公式試合じゃないし問題は無いが…」
「って元はショートだよな、蛇神さんのポジションじゃ…」
「そしてポジションは臨機応変に替えていく。心して置くように」
さて、地獄ロード。どうなる事やら。
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