#04 彼の人物
「牛尾、合宿の時も伝えたがあのサードコンビの面倒頼むな」
「はい」
時は、合宿最終日まで遡る。
肝試し終了後、君が3年の部屋に来て。
「牛尾先輩、監督が呼んでいるので一緒に来てください」
監督、急に呼び出しなんて、どうしたんだろう。
「「失礼します」」
2人が同時に入る前の礼儀を言って、襖をあける。
「おーー牛尾とか」
窓際においてある丈の低い机と椅子。
そのイスにタバコを吹かして座っている監督。
机には灰皿とビールの空き缶、それに様々なデータの書かれた紙が散乱していた。
「…その書類は」
気になってしまったのでとりあえず聞く。
「ああ…に作らせた部員全員のデータカードだ。
今レギュラー決めの真最中なんだが、
これから決まるオーダーによって十二支は生まれ変わる。新生十二支の誕生だ。
そのためには大幅な順位変更と守備位置変更が必要なんだが、
それにあたり1つ提案がある」
「提案?」
それをなぜ今、僕に?君も部屋に入ってからずっと黙ったままなのも気になる。
「そう…お前には外野の重要ポジション・ライトについてもらいたい」
な、なんだって?!
「私が…ですか!?」
僕に何の落ち度が合ったのだろうか。
「ああ…お前ならどこへ行っても守れるだろう
…1年の猿野を使いたい奴をサードにあてる」
「猿野君を…ですか?」
にわかには信じがたい。
「監督、だから言ったじゃないですか。
あれの打撃は確かに驚くべきものがあるのは認めます。
でも、あれは守備はザルどころではなく、底の抜けた杓子ですよ」
ここで部屋に入ってから始めて君が口を開いた。
どうやら彼女は猿野君がサードに入るのが不服らしい。酷い言われ様だ。
「、何回も言ったろう。確かにあいつの守備は底の抜けた杓子だ。
だが、牛尾1人では埼玉地区の2強を迎え撃つ打線には到底足りない」
「別にお猿君が遊軍に入るのはこっちも推奨しています。
守備なら外野、レフトかライトあたりに行くのが定石だと思います。
なにも守備でも重要なサードでなくたって、サードは牛尾先輩が守るべき場所です」
君の言う事ももっともだと思う。
「。お前が守備を重要視する気持ちも分かる。
なんせ司さんの子だからな。しかし、これは決定だ」
君は顔を少し歪ませて。
「わかりました」
それだけ言った。
「猿野も死ぬ気で特訓すれば少しはマシになるはずだ。
そのために牛尾にあいつを見て貰いたい」
「…彼についてはいかがなさるおつもりで?」
僕が目に止まったのは部員の中でも
かなりの努力をしていると一目でわかる子津君のデータカード。
「フ…こいつについては考えがある。
ひょっとしたら夏までに大化けしてるかもしれんぞ。
こいつの世話は、任せたぞ」
「それについては喜んでやらせてもらいますよ」
どうやら話はついたようだ。
「監督…サードのもう1人のレギュラー候補ですが、獅子川君を推薦します」
「ああ、本当にいいんだな…牛尾。俺は手加減を知らねぇぞ」
「はい…そのためにあなたに来て頂いたんですから」
「牛尾先輩、獅子川さんとは?」
「君は1年だから知らないよね。獅子川君は3年のサード志望なんだけど
…しいていうなら猿野君に近い人かな。今は停学中でいないけどね」
……すっごく不安だ。
「本当に、大丈夫なのかな」
はサードコンビの珍プレイ満載の守備を不安そうに見つめる。
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