#30 宴会
飲めや、歌えやドンチャン騒ぎ。
料理は宿の仲居さん達がやってくれて
私達マネも仕事もなく、寛いで楽しんでいる。
「檜―。そこのお刺身取って」
「ハイ…かも。代わりにの隣のオレンジが欲しい…かも」
「はいどうぞ」
「凪―。ポカリ取ってくれ」
「はいもみじちゃん」
「ちゃーん何か歌ってー」
「嫌ですよ。私オンチなんですから」
私の歌は某アニメのガキ大将並だぞ。
「が苦手なんて意外だねー」「本当に」
「リズム外すんですよ。ダンスだったらリズム取れるんですけどね」
ホント何が悪いと言うんだ。私は絵も下手で芸術系は全滅に近い。
鑑賞は得意だけど…下手も何もあったもんじゃないしね。
「だったらダンスしてよ!舞台空けてーちゃんがダンスするって!!」
周りが歓声を上げて前の舞台を空ける。
「何で急にそうなるんですか?!」
やるとは言ってないよ?!
「いいじゃねぇか、監督命令だ。やれ」
「こんな時にそんなもん使うな!職権乱用だ!!」
その間に桃坂先輩と栗尾先輩に引きずられ
仕方なく前に出るはめになった。
「なんの歌で踊る?」「音楽はカラオケでいいよね」
「BOAの『NO I』なんかどう?」「ここはZONEで『証』いこうよ!!」
「それにしよう!!」
2人は楽しそうにカラオケのページをめくりながらそうやってバンバンと決めていく。
観念してやるしかないのか。
「だったら誰か歌ってくださいよ。それに合せます」
ダンスなんて即興さ!!
「じゃあうちらが歌う!!」「じゃあ、音楽スタート」
栗尾がリモコンの転送ボタンを押す。
すぐに取りつけてあるステレオからテンポの速いリズムが流れてくる。
やるっきゃないか、踊るのは好きだし。先輩達が歌いだした。
「「なぜ僕は ここにいるのか? どしゃぶりの雨の中で明日の為に
僕はいるのか? 何ができるのか?」」♪
歌を歌い始めると同時に私は着ていた浴衣を脱ぎ捨て、スパッツとキャミソールの格好になる。
その姿に純情な何人かが顔を赤らめる。
時々技の型やら色々いれて歌に合せて即興で体を動かす。
この際下手でも構わない。
「「誰か 教えて 誰か 気付いて 誰か 僕に その答えを
人の渦 迷い込んで 見上げた ビルの狭間で
小さく見えた ちぎれた空に のみ込まれそうで
誰か 教えて 誰か 気付いて 誰か 僕に その答えを
今 僕が 生きる 自分の居場所 探し求めて 叫んでる
迷い疲れても 叫び疲れても もう 逃げたくはないよ
何も無い この部屋の隅 うずくまり 疲れ果てて
眠る事さえ おびえていた 傷付いた僕に
誰か 教えて 誰か 気付いて 誰か 僕に その答えを
今 僕が 生きる 自分の居場所 探し求めて 叫んでる
迷い疲れても 叫び疲れても もう 逃げたくはないよ
もし 僕が死んで 涙を流す 人がいるなら・・・××××
涙が 左の鼓動を 揺らす 震え上がる 証を
僕は ここにいる 今生きている 叫び続けて 進む」」♪♪
ラストスパートまで速いテンポと歌詞に合せたダンスで休みも何もあったもんじゃない。
最後の間奏を踊り切り、歌が終ると私は汗だくだった。
はーしょうもないもん世間に晒しちゃったよ。
しかし周りの反応は意外なものだった。
「す、すげー!!」「、踊りで食っていけるぜ!!」
「余興でこんなに凄いの見れるなんてラッキーだよな!!」
「先輩達に、カッケーぞ!!」「先輩もちゃんも上手いです」
「ホントプロみたいかも…」「素敵ですわ!!」
「大盛況じゃん!!」「やったね!!」
桃坂、栗尾は後ろで手を叩いて喜んでる。
「でも、疲れましたー。汗かいたんでお風呂行ってきます」
ハッキし言って頑張り過ぎました。
「、これから違う余興するから浴衣じゃなくて私服にしろよ」
「?はーい」
何するんだろう…しょうも無い事だろうけど。
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