#27 9回裏



「スバガキー!!てめー生きてるかー?!」「兎丸〜〜平気かよ!?」

「足はご無事ですか!?」「ウサギ君大丈夫?!結構あれって脚にくるよ?!」

1年軍はホームに帰還した兎丸に駆け寄る。

「いっ生きてるよ……。流石に立てないけど…ねエどうだったぼくの足…」

「コンニャロー心配させやがってこのクソガキが!
おうおうテメーの足は部内1だ!プロ並だよ!!」


「そっかよかった…これでもうガキなんて呼ばせないもんね…」


「ウサギ君も無茶してるね。猿野ベンチまでウサギ君運んで、
足は私が診る。桶川君、代わりにビデオ頼んだ」

「おうよ」「よしきた!」

2人共言い返事をして作業に移る。

「どうやら平気そうね。一応冷やして置こう」

 救急箱からシップを取り取り出す。

「はーい」




「さて、今の戦況は辰君が2ストライクか…追い込まれたね」

しかし、その表情に焦りは見られない。

すると、辰羅川もバットで2回肩を叩く。
合図を受けてランナーの司馬と子津が走り出した。

そして、投げられた球は剃刀カーブ。


犬飼くん…いつもあなたの球を受けているのでよく分かります。

生きている球とはまるで意志を持つかのように状況によって

スピード・高さ・方向などが変わっていくもの

…ここはどんな不恰好な手を使おうと君を負け投手にはさせません!!!


ギィィィン


打った。球はサードを越えてレフトへ。その間に司馬が3塁を踏み逃げする。

レフトもキャッチャーへと送球。

司馬が三象にまともにぶつかっっていった。

結果は…。

「セーフ!!」


8−10 

2,3年軍に勝つ可能性がみえてきた。





「ここに来て、1年軍が粘り始めたね。
学習能力が半端じゃない。今年は逸材揃いだよ」

「何暢気な事言ってるのだ!!お前らはもう忘れたのか!?クソ!!」

鹿目は震えて入る。そして唇を噛み締める。

「僕達はずっと、表舞台にも出れずに耐えてきて

…今年やっと…自由になれたはずなのだ…。

それを今更、後から出てきた1年共なんかに掠め取られていいのか!?

屈辱なのだ…1年は1年らしく、おとなしくしていればいいのだ…」


そう言いながらグラウンドを蹴る。

他の2,3年にも影が落ちている。

「鹿目君…落ち着くんだ」

牛尾が肩に手を置く。

「今やっているこの試合…羊谷監督の唱える実力至上主義こそ、
僕らのかつて望んでいた事じゃなかったのかい?

確かに、自分達が3年になってからでは、あまり意味がないと感じられるかもしれない…。

でもね、だからと言って、新1年生にまで僕らと同じ苦汁を舐めさせる事はない。

そう…もう、あんな憂き時代など

…だから、今こそ僕達は実力で1年軍に勝とうじゃないか!」



これで2,3年軍の闘志も燃え広がった。


さあラストスパートを駆け抜けろ。









「で?最後の打者はお前か…猿野天国」

ここで私を認めさせないと遊軍入りは無理だぞ?

その張本人は下で犬君に活を入れられて起き上がる所だった。

「奇跡っつーのは起こるんじゃねえ、人が起すもんだ」




中々の台詞だね。で、私はそれを見守ろう。







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