#21 前日2
「さて、これでオーダー表の見せ合いは終了だ。
明日は気合いいれていけよ」
「特にお猿君!!」
私は指で指して言いきる。
「俺か?!」
「当たり前。4日前、あんな馬鹿見たいなバッティングで私を怒らせた。
この決戦で本当に私には無理だった
お義父(とう)さんの伝説を破ったのか、見極めさせてもらう」
宣戦布告。言いたい事は言えた。
「は?お父さん」 「ちょ、ちょっと待つっちゃさん」「お父さんって村中大打者がか?」
「本当に暴露しやがった」
監督が呆れてるのか驚いてるのか分からない声をだす。
「元々無理して隠しておく必要はないし。
気になってる人が多いみたいだったから…」
「殿、話を進めて貰いたいのだが…」
蛇神が話しを進めるよう促す。
「そうですね」
1つ大きく深呼吸する。
「私には名前が2つあります。
1つはいつも使っている生みの親の苗字で旧姓の。
もう1つは戸籍上で使っている名前、村中。
……私は大打者と呼ばれた村中紀洋の養女です」
「村中選手の養女?!」「養女ってどうして?!」
「それは俺の方から言おう。コイツの生みの親、
司、沙耶は事故でが3歳の時に亡くなった。
は村中家にいたから無事だったがな。
司さんは村中の妻の裕子さんと従兄弟同士、沙耶は、俺の幼馴染だった」
……監督、否、羊の叔父ちゃんはその当時を思い出して暗く、重い表情を浮かべる。
「鷲坂司といえば、知ってる奴もいるかもな」
「鷲坂司?!」「確か、十二支黄金時代幕開けの年の主将だったんだよな?!」
「当時村中は24で本来、養子はとれないが
本人達の強い希望と育てられるだけの収入もあり、
親類であった事から裁判所でも認められ、を養女にした」
「野球は私を両親の死から立ち直らせた大切なもの。
そして目標の1つがあの時計。
でも女である私はまだあそこまで届かせる事は出来ない。
なのに、お猿君はそれが出来たと聞いてとても悔しかった」
アレを破るのは私達兄弟だとずっと思っていた。
「……」
猿野はの名を呼ぶが聞いていないようだ。
「でも、クロスカントリーで頑張ってくれて凄い奴なのかなと思ったら、
バッティングはあの結果。
結構期待してた所為もあって裏切られた気分だった。
……私はあんなのに、
ふざけたバッティングしか出来ないような奴に
私の努力は負けたのかと。
だからあの時、私のバッティングを見せた。
あんたはこれから伸びる存在だと信じて。
私を超えるだけの才能を持ち合わせた者だと思いたいから。
ただのまぐれ人間に、負ける人間に私はなりたくない。
猿野天国、コレがラストチャンスだ。
私に本当に伝説を破ったと納得させて見ろ。
それが出来なければ1年軍が勝ってもお前が雄軍に入る事はないと思え」
この4日間でどれ程成長してきたか、私に認めさせることは出来るのか?
「……おもしれぇ。やってやろうじゃん!!」
やっぱりこいつは喧嘩は買うか。そうでなくちゃ面白くない。
「後、1年軍、私はあんた達を裏切ったつもりはない。
……それは憶えておいて欲しい」
1年の何人かは苦い顔をしていた。
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