#15 密談
「、用意は出来たか」
「はい。名前はシール状にしたのですぐに作れます」
持っている紙を見せるように持ち上げる。
「で?本当にやるんですか?」
「提案したのはお前だろが」
今更と言いたげに監督は言う。
「ええ。全員のレベルアップを考えればこの方がいいと思います」
「俺も同感だ。仲よし子良しじゃ伸びるモンも伸びない。競わせる事が必要だ」
「……いつまでも良い気になってたら勝ち上がれません。
1年も、2・3年も。特に猿野天国。
あいつは伝説に酔いしれてるだけのようにしか私には写りません」
あんなやつに、あんなので…私は負けた。悔しい!!
「アレを破ったのならそれなりのものを身に付けてくれないと私が惨めだ」
技術だけでは決して追いつけない、女子と男子の能力差。
どうしても私の腕力じゃあそこまでは届かない。
多分、いや、確実に魁兄もユタも、あそこまで届く。
でも、兄弟の中で私だけ出来ない。
普通の男子より上?それじゃあ意味がない。
私が目指すのは……そんな所で満足しては届きはしない。
私は、いつか2人に置いていかれるのではないか。
そう思うと…怖くて仕方がなかった。
あの場所に届けば、私は……。
「」
「私はお猿君が嫌いかも知れない。
クロスカントリーでは少しは認めてもいいと思ったのに……」
もしかしたら本当に凄い奴かと思ったのに。
「さっきのバッティングで自分の思い違いかと馬鹿らしく思えた」
……あいつには腕力のみなのか。
本気で、野球をやろうという気持ちは存在しないのか。
「それを分からせるためのこれだ」
俺は慰める事も出来ない。
コイツがあの事件の前まで、どんなに目標のために頑張ってきたか見てきた。
それを素人に破られた。
相手はいつもふざけてるような奴。悔しく無い訳がない。
「だから私は皆に嫌われるような事をする」
……あれ程、人からの負の感情に弱かった、人に嫌われることを恐れた奴が。
「あいつ等に強くなって貰うために。あいつ等はその可能性を持っているから。
あいつ等は、私が届かない場所までいけるのだから」
……こんなに成長したのか。
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