#13 イレギュラースピードマシンバッティング





3日目

次の日の朝6時。

ちらりほらりとまだ眠そうな人が見え隠れしている。

犬君は鼻ちょうちんを作って集合する。4時は早かったか?





「打の特訓に入る前に2・3話がある。
勘のいい野郎はもう察しがついてると思うが…すまんな。
この『ゆかいな合宿』実は『ゆかいな合宿』じゃないんだ…」

だからゆかいなのは監督だけだって。

「これよりこの合宿の真の目的と趣旨を説明しようと思う

…お前ら、2週間前に見せたランキング表を覚えてるな?

まずお前らの今やってるこの合宿だが、
ただ毎日悪戯に旅館と野宿とに分ける為だけに特訓をしていた訳じゃない。

今までの特訓はテメーらの能力を今一度確認する為のものだ…理由は1つ。

お前らを完全実力至上主義の下、2軍に分けるからだ」

「ふたつに!?」

「そう…但し1軍・2軍ではない。その名も、雄軍・賊軍だ

やっと暴露したか。隠し事が好きな人だよ本当に。

「1軍にあたる雄軍は実力上位20名の精鋭部隊。

そして来る夏の大会へのメンバーはその雄軍から選出する。

夏を目指す者は雄軍に入れるよう精進するように。話は以上だ」

沈黙が部員達を包む。
レギュラー陣達以外は、結構ショックだよね。

「ちょ、ちょっと待てよ!!いきなりすぎるぜ!」「オレ達3年だぞ!最後の夏なんだぜ!!」

「精進しろったって今までの3つの特訓ですでに評価されてんだろ!?」

「あんまりだ――!!」「入部早々、オレ達の夏は終わったな…」

やっぱこうなるよね、予想は出来てたよ。

あ、野宿常連組が泣いてる。

旅館組はそれほど焦りは見えない。さて、このままでは賊軍1番乗りのお猿君は…。

「よ、賊軍っていうかお前の場合俗軍行きか…」

 犬君、そんなにお猿君をからかいたいのか…。

「テメーだってクロスカントリービリだったろ!!しかも昨日はずる休みしてたんだ!
俺よりテメーのが賊軍って感じだろ!!」


「猿野君、犬飼君は今日の早朝に全部を測り終えていますよ。
しかも記録は十分旅館組です」

辰羅川が犬飼の弁護に入る。

「何ィィ?!」

「つーわけだ。残念だったな」

「はい、おしゃべりはそこまで。次のメニューが始まるよ」

 収拾が着く段階で歯止めを掛けておく

これ以上疲れる猿野のギャグを回避する為もあるのだろう。














「第4のメニュー打の特訓は、『マシンバッティング』だ。
球は10球。より多くヒットさせろ」

思っていたよりも普通の特訓に部員達は驚く。まだ考えが甘い。

「最初は子津君、前に出てきて」

監督一番最初に絶対驚き上手の人入れてるでしょ。

子津は緊張した面持ちでバッターボックスに登る。

そして…。

ズドン!!

重い音がミットから聞こえてきた。

球を受けたキャッチャーも驚いている。

「悪いな、このマシンは球速を145kmからセットしてある

「そ…そんな」

 は…速いなんてもんじゃない。打席に立つともっと速く感じる。


子津君諦めろ。昔からこの人はこうだった。



続いて2球目。
今度は先程とは打って変わったスローカーブ。

「球速は70kmから145kmまである。
それに球種を含めると、投じられる球は多種多様だ」


本当に性格悪いよ。

つまりこの特訓はイレギュラースピードマシンバッチィング。

大体の部員達はマシンの的確なスピードコントロールと
監督の裏をかきまくる配球に大いに苦しめられる中。








「虎鉄大河・記録7球」

「やっぱマシンだNa。球が素直すぎるZe」

打率7割か。虎鉄先輩はレギュラー決定。







続いて牛尾先輩。

「牛尾御門・記録9球」

…打率9割。もう感心するしかない。










「最後、猿野君」

「見てろ、これより天国スペクタルの始まりだ」

さて、お義父さんの伝説を破ったという腕前みせて貰おうじゃないの。







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