#12 2日目終了。
私が担当した方は測り終わり、監督側の最終、牛尾先輩の競技を見る。
結果、私に続いての完全制覇。しかもタイムはウサギ君と同じ、11秒58。
……ちょっと悔しい。
「牛尾先輩お疲れ様でした。タイム抜かされちゃいましたね」
監督側の記録用紙を受け取り、上着を着ている最中に激励する。
「君も素晴らしいよ。
あんなに速く走りながら変化球を入れて当ててしまったのだから」
僕まで桃坂君の言った言葉を真剣に考えてしまった。
そうすれば君は力を発揮する場所をココに作れるから。
いなくなってしまわないと思えるから。
「、お前は一足先に帰って資料整理して来い!!
ついでに犬飼の様子も見て来いよ」
「了解、監督。じゃあお先に失礼します」
私は軽くお辞儀してその場から離れた。
「凪、私先に戻る事になったから」
行く前にマネージャー達に一言言ってからと思い、近くにいた凪に声をかける。
「分かりました。明日の用意は任せて下さい」
「うん」
*
コンコン。
「失礼します」
……昨日のような失態は無いように床を叩いてしてノックの変わりとした。
「犬君様子は……寝てたか」
犬君は規則正しい寝息をたてながらぐっすりと寝ていた。
思わずまじまじと観察してしまう。
「犬君ってよく女子に格好いいとか言われてるけど、なんか寝てる時は可愛いかも」
って何してるんだ自分!!これは変態行為だ!!
「……記録整理するか。まずは清書用紙っと」
個人個人のデーター付きの紙を取り出す。
これは作るの大変だったよ、なんせ57人分全員のデータだよ?
人数多すぎだって。
それに記録を記入し、グラフを描いていく。牛尾先輩がダントツで1位。
……お猿君がダントツでビリ。黙々と作業を進め完成。
やっと終わったと背伸びをすると後ろの犬君からうめき声が漏れてきた。
起きるか。
「……っなんでがいるんだ」
起きたが、まだ目が寝むそうだ。
「お仕事中。ゆっくり寝れた?」
「寝るしかやること無いからな」
「そりゃそうだ。足見せて、経過みてみよう」
犬君はその言葉に従い、布団から足を出す。
うん平気そうだ。
中度の捻挫だったしね。少し筋肉が強張ってるから
マッサージしておいた方がいいかも。
「もう平気そうだね。一応マッサージしておこう」
「頼む」
今回は基本、一般的なスポーツマッサージをしていく。
ここで捻挫部分にマッサージは絶対に厳禁!!返って悪くしてしまう。
そこを避けて幅広くマッサージしていく。
「……上手いな」
「有難う。皆そう言ってくれるから嬉しいや」
他愛のない話をしながらマッサージを続ける。
ガラッと障子が開く。監督か?
「犬飼君、調子は……何してるんですか」
「見ての通り、マッサージだよ辰君」
それ以外に何があると言うんだ。
確かに、いつの間にか全体のマッサージも始める事になって、
犬君のうつぶせ上体にまたがってはいるが別段おかしくないだろう。
辰羅川が聞いてきたのは当たり前だ。
「ああ、なるほど。それで、経過は?」
「明日の練習は出て大丈夫だよ。コレは少しでも早く直せるようにの補助だから。
あんまりマッサージのし過ぎもよくないんだ」
マッサージばかりしているとマッサージしないと回復できない体になってしまう。
「しかし、犬君こり過ぎだ。マッサージのし甲斐ありまくりだよ。
最初は丘墟(キュウキョ)っていう足首の捻挫に良いツボと
普通のスポーツマッサージだけのつもりだったのに
いつの間にか全身マッサージになってたし」
「ああ。道理で体が軽いわけだ」
そこで頷いてる場合じゃないけど……。
「此の侭酷使してると選手生命縮めちゃうよ?辰君からもなにか」
「ん?アレは何ですか?」
辰君が机の上の紙に目を付けたや、ヤバイかも。
「辰君!!それ見ちゃ駄「こっこれは!!」
……遅かったか。
辰君が持っている紙は……
私がさっき仕上げたばかりのレギュラー決定のために制作した紙。
どうしようか悩んでいると。
「―終わったか。っと辰羅川、熱心だな」
監督が帰って着ちゃいました。
「監督っ。もしかしてこの合宿は?!」
気付いちゃってるよ。
「フフフ……そうだ。
この合宿でレギュラーを決めるためのもんだよ。そのファイルはな」
「ってバラしちゃっていいんですか?!」
「どうせ製作者はお前だし、いまさら言ったって変わりはせんよ」
「とりあえず……俺はどうなりますか?」
犬君、そうだよね。
今日の練習は参加出来なかったから、今の紙には記録なし。
「はっきり言って時間がねえからこのまま…「だったら私が記録を取ります」
「「・さん?」」
「犬君明日は4時に起きて。1時間もあれば記録は取れる」
「お前がやるってんならかまわねえが……又自分からめんどーな仕事を増やすのか」
「どうせそれが私の性分ですから。それに4時起きなんていつものことです」
もう開き直りだ。
「…サンキュー」
……口癖の『とりあえず』のないそのままの感謝。
「どういたしまして」
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