#04 クロスカントリー2
「で……2人も早く行きなよ。皆行っちゃったよ」
クロスカントリー開始5分。すでに皆は私の説得を諦め、山越えを開始した。
「。とりあえず、俺はコイツと行く気は塵ほども存在しねえ」
「それはこっちの台詞だ馬鹿犬」
こんな時まで喧嘩しないでよ。
こんなんじゃチームプレイなんて出来ないじゃない。
はすでに頭を抱え始める。
チャ―チャ―チャ―チャ―。
2人が訳の分からないギャグを繰り広げ、
殴って止めるかどうするか迷っている時。緊急用のケータイが鳴った。
「はい、です。学年とお名前をお願いします」
『か。3年一宮だ。相方が枝で額を切ってな。
思ったより血が出てるから早めに来てくれ』
一宮班か。A−3だね。そんなに遠くじゃないな。
「分かりました。とりあえず、タオルなどの布で出血部を圧迫してください。
すぐ向かいます」
指示を出してから通話を切る。
この2人は心配だけど、しょうがないか。
「犬君にお猿君私は仕事開始するからちゃんと下山してよ!!」
言いたい事を言い残し、私はA−3を目指して走った。
途中で子津君、辰君ペアに出会ったので、前の2人の話をしてそちらに
行って貰ったからまあ問題ないでしょう。
「お待たせしました。怪我の様子はどうですか?」
5分程で目的の班に合流。どうやら怪我をしたのは平泉先輩らしい。
良かったそんなに怪我は深く無い。軽傷だ。
「ああ。一応血は止まってきた」
「頭の周りは血管が集まっているので怪我をすると吃驚するぐらい血は出ますが、
すぐ止まってしまうんです。幸い眼球も無事ですし、
消毒してガーゼを貼れば問題ないでしょう」
説明をしながら鞄から消毒液とガーゼ、テープを取り出し、治療を開始する。
「手際いいな」
一宮先輩が隣で感心しながら様子を見ている。
「私も兄弟も小さい頃から野球をしていたので怪我なんていつもの事でしたから。
はい終わりました。まだ他の人もそれ程は離れていないので
急げば十分宿組みに入れますよ」
「助かった。アリガトな。
他の1年軍もお前ぐらいの可愛げあればなー」
平泉先輩はお礼を言いながら立ち上がった。
そう言われましてもなんて返せば?
一宮先輩まで頷いて賛同してるし。
男に可愛げ求めるのもどうかと思うんだけど……。
「褒め言葉として受取っておきます」
「褒めてるんだから当たり前だ。そろそろ行こう」
「ああ。も無理すんなよ」
「どうせ一番最後ですからゆっくり行きますよ」
特にあのペアがいるし。帰れるのは夜に近くなってしまいそうだ。
……暗いのは勘弁してほしいな。
「そうしとけ。じゃあな」
「いってらっしゃーい」
一宮・平泉ペアを見送って私は発信機の位置の確認をした。
今の所1位はA−5:牛尾・蛇神ペアがダントツだな。
で、2位がA−9:鹿目・三象ペア。
3位がB−1:虎鉄・猪里ペアって所か。まあ予想通りの展開。
それからは似たり寄ったり。中には見当はずれの道を行くペアもあった。
………でゲビが子津・辰羅川ペアと猿野・犬飼ペア。ちゃんと会えたんだ。
じゃあ、宿には着くな。泊まれるかそうかは別だけど。
大体の位置を確認し終わり、持ってきたお弁当を広げてお昼をとる。
いつでも動けるよう栄養は補給できるときにして置いたほうがいい。
「あっそうだ。凪達にも連絡いれて置こう」
ポケットからケータイを取り出し、メールを打つ。
宛
順調。こちらは一宮・平泉ペアの治療をしたぐらいで他は問題なし。
そっちはどう?
送信完了後、返答はすぐに戻ってきた。
宛 凪
良かったです。こちらも問題ありません。ちゃん、本当に気を付けてくださいね。
「凪は心配性だな」
自然と笑みが零れてきてしまう。
チャーチャーチャーチャー。
また電話がかかってきた。
「っときたか。はい救護班です。学年とお名前をお願いします」
「2年高崎だ。新里が足をくじいた。赤く腫れてるから来て欲しい」
高崎、故郷を思い出す苗字だ。B−7結構前だな。
「分かりました。何か冷えているものがあったらそれを当ててください。
そうするだけで随分違うので。
すぐ向かいますが結構はなれているので待っててください」
ケータイをポケットに入れ、鞄を背負う。さて、走るか。
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