#03 第一メニュー『クロスカントリー』




「着いたぞ」

降りた場所は宿ではなく、一面に瑞々しい木々の立ち並ぶ森でした。

「ここはどこっすか?」「宿についたんじゃねーのかよ!!」

「宿?ココだよココ」

タバコを持ったままの手で地面を指さす。

なんでこう人を怒らすのが得意なのかね、この監督は。


「冗談じゃねえぞ!!てことは野宿かよ!!」
「『ゆかいな合宿』じゃなかったのかよ?!」「そうだ!話がちがう!!」

「まぁ落ち着けや。野宿といっても全員じゃねぇ。
野宿になるのはこの中の3分の1だ。
これから始まる合宿メニューの罰ゲームとしてな」

そこまで話がいった所でコンパスと地図の入った箱とくじ引きを出し、地面に置く。

「合宿第1メニューはペアクロスカントリー。とは言っても走るも歩くも自由。

でも宿で寝たい人は走る事をお勧めします。ゴールはこの地図に赤丸が書いてある宿。

ココから最短距離で20kmくらいですね。個人プレーは禁止。
必ず2人1組でゴールするように」

「勝負は早い者勝ち。先着20組様は宿に御案内。
温泉に美味い飯、暖かい寝床、女子マネージャーが待っているって寸法だ」

んでもって人を乗せるのも長けているんだよね。

くじの箱を持った夜摩狐先輩、栗尾先輩、もみじが前に出る。

「話を理解できたところで3年から順番に組み合わせを決める
くじを引いてもらいます。
決まったペアから3年は柿枝先輩、2年は桃坂先輩、1年は鳥居さんの所に行き、
ペアメンバーを報告してから猫湖さんから地図とコンパスを受け取って下さい」

さて、私の方も準備しなくちゃ。

皆がくじを引いている間に用意していたバックを取りに行き、
帰ってくるとお猿君と犬君がまた喧嘩していた。

……あの2人がペア?不安だ。

「幸い、この山は電波は通じるからケータイも使える。

怪我など何かあったら地図の裏に書いてある番号に掛けるように」

そう言って監督は私以外のマネージャーを連れてバスに戻って行く。

「じゃあ後は頼んだ」「、無理はすんなよ」

「了解監督。柿枝先輩大丈夫ですって何かあったら連絡します。
明日の用意は任せましたよ」


カラカラと笑いながら柿枝先輩を安心させるように言う。


「それはしっかりと引き受けた」

「ちょっと待ってください。なぜ君は残るのですか?」

牛尾が皆を代表して監督に尋ねる。

「こいつが何かあった時の救護班だ。心配すんな。
コイツの救護技術は医者も感心させた程だ。
お前らの持っているコンパスには発信機付けてあるからな。
俺とはお前らがどの辺りにいるかが分かる。それに最初に言ったろ。
コイツも練習に参加させるってな。

後、そいつで手に負えない時は俺の番号教えてある」

何も問題は無いと言った風に監督は答える。

「いくらだからって女に山歩きさせるのは……」「可哀想だろ」

周りは女じゃ山越えは無理だと口々に言い張る。

なめられてるようであまり良い気分では無い。


「皆さんご心配有難うございます。でも、この山はそれほど大きく無いので
距離以外はハイキングみたいなものですよ」

柿枝先輩の時のようにカラカラと笑いながら答える。しかしまだ不安なようだ。

「それに、バスもう行っちゃいましたし」

私は出発して行ったバスを指差す。

ブロロロロ。

「本当に置いて行きやがっTa……」

皆呆然とそれを見送った。

「ということで、合宿第1メニューペアクロスカントリースタート!!」



はスタートを宣言する。

合宿第1メニュー開始。





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