#01 合宿発表


合宿はもう明後日となった所でやっと監督は部員たちに合宿の存在を暴露した。

「あー今日も1日お勤めご苦労。1年も練習が大分慣れてきた様だな。

そこでだ…いつもいつも練習ではつまんねえだろうから
これより始まるG・Wの一週間で合宿なるものをどどーんと決行しようと思う」


「「「「「「「「「「「「合宿??!!」」」」」」」」」」」」



やっぱり驚いた。そりゃそうだ後3日だもんね。皆全然監督を信用してないよ。

……やってきたことがやってきたことだし、当たり前か。

「おい。例のモノを」

「あいあいさー」

そういってファイルから取り出したのは伊豆のパンレットの表紙。
それを出されていたボードに貼り付ける。

「行き先はココ。観光地として有名な伊豆だ」

バンッとボードを叩いてみせる監督。

「皆さーん、しおり配っちゃってください」

部員がまだざわついているが早めに配ろうと皆に合図を送る。

「伊豆っすか?!」
「国内なんてケチくさい事言ってないでハワイ連れてけワイハ――」

誰しも、自分が頑張った事を理不尽な理由や単なる茶化しを
いれられると無性に腹が立つものだ。

ピクリと米神を動かし、パチンを指を鳴らした。


「お猿滅殺部隊。殺っちゃいな

「「「「イエッサー!!」」」」
「ウギャ――!!!」

は猿野の抹殺を命令して、断末魔を背にしおり配りを再開した。

「はい辰君」
「有難うございます」

ちゃーん僕にもー」「僕もお願いするっす」



「よし、しおりは全員回ったか?しおりの表紙にも書いてあるように
今回の合宿は題して『ゆかいな合宿』だ」

あんただけがな。

「伊豆は良いぞー。山あり、海あり、料理も美味いし
……後、水着を忘れんように。泳ぐぞv女子マネもなvV」

はぁ?そんな事聞いて無いよ!しかもまだ5月だから泳げないよ!!

「ってことで明後日朝の5時校門集合だ。遅れんじゃねーぞ。
質問、疑問等があったらに聞くように。それじゃ解散」

「「「「「「「「「「「「「っついっしたー」」」」」」」」」」」」」」

君、さっきの泳ぐというのは本当かい?」

牛尾が手を上げてを呼ぶ。

「嘘でしょう。少なくとも私は聞いてません。
それに5月じゃ水温低すぎて泳げませんよ。何か、あるんですか?」

「いや、手の事でね」

牛尾は安心したようにため息をつく。
牛尾先輩はいつも皮の手袋をしている。

それに関係があるということは………。

「怪我を、しているんですか?」


牛尾先輩は目を見開いて驚く。聞いちゃいけなかったかな?

「すみません、嫌がらせちゃいましたね」

「いや、構わないよ。少し驚いただけさ」

「何か出来る事があったら、出来る事だったらやりますよ。

じゃあ更衣室に行きますね」

「ああ。手間を掛けさせて悪かったね」

「いえいえ。他に不備があったらすぐに教えてくださいね。それでは」

は駆け足で更衣室に戻った。

相手の過去に触れてしまって悪いような感じがして長居をしたくなかったから。


「牛尾、如何した?」

「皆が君に惹かれるのはしょうがないと思ってね」

「有無。真、不思議な少女也」




家で家族揃って夕食中、一応私の口からも合宿の話をしておいた。


「……という分けで私は明後日から1週間伊豆に行ってきます」

「十二支もか、我ら黒撰野球部も1週間合宿だ。行き先は草津だがな」


草津か、候補にも入ってたけど監督が伊豆の方が良いって
言ったからお流れになっちゃったんだよな。
一応ファイルの一番前に来るようにとか細工したんだけど。


「群馬か、いいな。里帰りしたいかも」

の生まれた前橋から草津はかなり遠いだろ?」

私の生まれた――とは言っても3歳までしかいなかったが――場所は
群馬県での両親の墓もそこにある。


「うん。しかもかなり端っこの方だしね」


草津と前橋はかなり離れてはいる。


「また今年、お墓参りに行けばいいじゃない」


お義母さんは小さい頃からの慰め方をする。私、もう15なんだけどなー。

「うむ。又、家族全員で行こうな」

「うん。そうだね」

しんみりした空気を流そうと魁は話を元に戻す。

「しかし、羊谷殿が監督では必ず何かあるな」

「魁兄大当たり。十二支部員は此の侭じゃ甲子園どころか黒撰に当たった時点で終了。
だからバンバン強くしなくちゃ」

「こっちだって負けないぞ!!」「うむ。我々も此の侭ではないからな」

「ああ。こちらもどんどん強くなる。練習メニューも考え直しが必要かもな」

「おっ親父殿?!」「親父?!」

魁兄とユタはお父さんの言葉を聞いて動揺する。
お父さんの練習メニュー本当に容赦の2文字は存在しないからなー。

黒撰の合宿も荒れそうだ。






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