#05 入部試験



「こんなに人がいるとやり難いんですけど」

こんなにわらわら集まられると気が散る。

「しょうがないよ。君は一昨日あんなに目立つ事したしね」

「それに、おめえは昔はこんなもんじゃねえ程の人数に見られてたじゃねえか」

そりゃそうですけどね。

「当たって怪我しないようにもっと離れて下さい」

投げる体制を作りながら警告する。

「随分腰を低くするのだな」

「伸脚みたいなのだ」

「つーかあれ、男子用の砲丸じゃないか?」

 1人の平部員が気付いた。

「「「「「「え?!」」」」」」」

その言葉に全員が驚く。

「いっきまーす」

その掛け声と共にホーガンは空に放たれた。

ドッゴォォ

砲丸は大きな音を出してクリアーラインを遥かに超して落ちた。

「結構いったな」 「まあ。さんですから」「で?いくつかな〜」

左から犬飼・辰羅川・兎丸。間違いなく合格ラインに到達しているの腕力に
他の奴等と比べてそれ程驚いていない。

ちゃんの記録…15m69cmです」 
(※)高校女子記録 15m53cm 

栗尾がメーターを読みあげる。

「下がったな」

「1年は何も投げてなかったからしょうがないですよ。
それになんで男子用なんですか?」

一応反論はしておく、私は女だ!

   (※)高校男子砲丸重量5.443kg  高校女子砲丸重量4kg 

  「ウチの部活には今は入部試験に使った男子用しかないからな。
陸上部に借りるのも面倒だし」

「それで良いのか監督」

「アレで下がっただと?!」「ホントに女の記録かよ!!」「素晴らしい記録也」
「あいつやるのだ」「さん凄いっす!!」「ふん。俺の記録の半分じゃねえか」

「お前のは反則だったろ」

「何だと馬鹿犬!!」

「わー喧嘩は辞めて下さいっす!!!」

「(コクコク)」

「司馬君もそう思うって。次の種目始まるよ」





只今私は重装備を付けております。

「これがパラシュートランか」

「はい。終わりましたよ」

最後のベルトを付けてもらい、完了したようだ。

「ありがと凪」

「頑張って下さい」

「おう!!」

ちゃん用意はいい?」

「OKです。桃坂先輩」

「それじゃあ位置に着いて、ヨーイ、スタート!!」

旗が振り落とされると同時に駆け出す。コレ、すっごく重い!!
最後のラストスパートをかけ、100mは走り終える。

ピッ。小さな電子音を耳が拾った。

「つっかれるー」

「お疲れさん」

ドリンクとタオルが目の前に出された。

「有難うございます柿枝先輩。夜摩狐先輩、記録はどうでした?」

タオルとドリンクを受け取り、後ろの先輩に尋ねる。

「14秒11ですね」

「げ?!遅っ!!」

「いや、十分早いんだけど…」

柿枝は驚きを通り越して呆れている。

一方、レギュラー人達は…。

「素晴らしいね。今の所の記録は男子平均ですらかなり上回っている」
「有無。女子である事が真に惜しまれる」
「と言うよりホントにって何者ですka?」「そうばい。アレは唯もんじゃなかと」

の記録に賞賛を送っている。
しかし、彼らはまだ驚き止まりだがこれから驚愕を体験する事になる。





「次は3本ノックだ」

3本の棒に1つずつボールが乗っかっている。1つは軟球で2つは硬球だ。

「待ってました!!」

「本気出せよ」

「私はいつも本気ですよ」

不敵な笑み。これほど今の彼女に似合う表現は存在しない。

「では、クリアーラインは3球全部だ。派手にやれ!!」

「了解。だったら難しいやつをお願いね」

「おい!!パーフェクト宣言かよ!!」

「まだ、司馬以外出来てないんだぞ!!」

周囲は野次を飛ばす中、犬飼と辰羅川が先程よりも真剣な顔つきになる。
どことなく司馬も同じのようだ。

「来るな」 
「皆さん、しっかり見てください。ココから彼女の本領発揮です」 
「(コクリ)」

「行くぞ!!」

ガキーーーン



3つのボールが宙を舞う。





さあ、幕間劇の始まりだ。











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