17 「二回、三回女子選抜、神奈川選抜、三者三振」 「1−0のまま4回か。何だかんだで神奈川も女子選抜を よく調べてる様子じゃのう」 霧崎はクワットロからせんべいをもらって齧りつく。 何だかんだで他校との交流も深まっていた。 「女子キャプのフライヒットは狙ってホップさせた っぽいング」 白春は3枚目のティッシュで鼻をかみ、部屋のすみの ゴミ箱に投げ捨てた。 牛尾は白春に賛成する。 「球を引っ張る力は比嘉さんが一番だ。 恐らく、打者としては君と同じくらいに警戒されて いるんだろうね」 朱牡丹がケータイをイジって今大会専用掲示板を覗いてみる。 「勝ち予想はほぼ五分五分気だね」 帥仙は朱牡丹の座るベンチに寄りかかり、ケータイの画面を 見る。内容は賛美もあれば中傷もある。 流石に女子差別的な書き込みにはその数倍の説教の書き 込みが連なっていた。 「エースの切原がいない上に大阪に次いでの優勝候補相手 の割には評価が高いな。最初のころとは大違いだ」 「今見てる掲示板での評価は群馬vs女子の時には9:1で 群馬優勢だった気(=3=)v」 くるっと指先でケータイを回し、掲示板ページをを閉じる。 「この端末だけで見れる範囲でも、意見が様変わりしてる気。 最初は無謀とか有り得ないとか言いたい放題だったのに」 「そうそう!プロ選手の人でも女子選抜の参戦にあんまり いい意見言ってくれなかったもんね! そういえば村中大打者にもインタビューって行ったのかな? ちゃんの義理のお父さんだし、元々有名人だし。 由太郎君と魁さん何か聞いてる?」 朱牡丹の話に乗ってきた兎丸は話に村中兄弟を混ぜる。 この風景をみるだけで、当初よりも他校同士が仲良くな ってきたことがよくわかる。 「来た来た。すっげー煩いってオフクロが電話で愚痴 ってた。 親父は男女だろうが外人だろうが障害者だろうが野球 をする制限にするのは反対だっていつも言ってるから この件もいいんじゃないかってコメントしてるってさ」 「大会の盛り上がりとしては先の全国大会よりも上回 っている。 お膳立てしたレオハルトも満足しているだろうな」 由太郎に続き魁もコメントを入れた。 「やっぱりこの大会ってレオハルト財団が裏にいたんだ」 牛尾はつい1ヶ月ほど前に出会った世界的大富豪を思い出 した。あの後、両親には説教交じりの愚痴を言ったりもし たが、今思うと両親がのことをレオハルトに伝えたの も間違いではなかった。 大会を運営するのに先立つ金銭の問題を解決できたのは 疑い様もなくレオハルト財団という権力と権威のお陰だ。 高野連が君を宣誓に立たせたのも、スポンサー命令 だったのだろうか。 「ゼノン=レオハルトは拙者としては邪魔でしかない男 だが、本当の意味での願いを叶えたのは奴という ことだ。口惜しい」 苦虫を噛み潰す魁に小饂飩は体当たりするように方に手 を回した。 「魁ちゃーん。これ以上家族だけでちゃんの独り占 めはしちゃいけねえって意味だって。 だからちゃんの彼氏「許さん」 「頑固親父みたいだね。監督の役割をとっていいのかい?」 緋慈華汰がため息交じりに言うと由太郎は遠くをみて。 「親父はに男できたらその男がどんな奴でも改心 させて全うな男にしてやると意気込んでる。 俺と兄ちゃんは今どき女子高生じゃなきゃいいって」 と言った。 「監督らしすぎるね……」 黒撰組は尊敬する監督に生暖かい思いを送った。 親馬鹿だ、と。 NEXT