6 「…帥仙さん。何時からそこいたんですか?」 屑桐さんがやっと帰ろうとしたその時にイメチェン した帥仙さんが廊下の角から姿を出した。 私あそこさっき通ったよ? さっきまで絶対いなかったよ? 何だかんだで無涯さんは帥仙さん認めてるから少し 安心度が高まったのはよしとするけどさ。 帥仙はこれから試合だというのに疲れ気味と感じさせる ため息を吐いた。 「途中から後つけてた。お前もう少し、背後に人が 付いて来てるか分かるくらいには気をつけろよ」 「以後気をつけます」 出来るかどうかは別として。 「あ、俺の事白雪監督に話してくれたんだってな。 お陰で俺のアピールがスムーズに出来て助かった」 顔に似合わず律儀に礼を言った帥仙には にっこり微笑んだ。 「帥仙さんなら選抜選手でもやってけるとは 思いましたから」 それと私が少しでも知ってる人が参入ピッチャー だと対策立てやすいものね。 っと、そろそろ試合再開しなくちゃか。 「帥仙さん活躍期待してます」 「おう」 帥仙はに一振り手を振ってからベンチに入った。 それから、は牛尾に頭を下げた。 「牛尾先輩、どうもありがとうございました」 私が無涯さんを叱るつもりだった。 でも、牛尾先輩に任せてしまった。 牛尾先輩があそこまで強く言えると思わなかったと いう本音もあるけれど、それでもこの人は今年、 初めて華武と対面した時よりも心が強くなった。 牛尾はベンチに戻る途中で振り返り、苦笑と一緒に へ話を向けた。 「君は十二支のチームの一員であっても、 埼玉選抜の選手じゃないんだ。 君に屑桐の説得をさせるのは確かに効果的だろう。 君は今まで、何度も混乱している相手の説得を 成功させているから。 でもね、今回の場合は筋違いなんだよ」 牛尾はここで一呼吸置いた。 「今、屑桐のチームメイトは僕達だ。 だから、屑桐が不安なら、その不安を一緒に背負うのも、 責任と信頼を背負うのも僕達であるべきだ。 君は君のやる事があるんだからこっちの 心配事まで背負うことはない。 君にお願い事をするなら、応援で力を与えて欲しい。 今回の試合も僕がちゃんと試合できるように、 応援してくれるかい?」 高校最後の大会を、君に全部見てもらいたい。 は深く息を吐いてから満面の笑みでそれに答えた。 「勿論です」 君、僕は君のその笑顔が大好きだよ。 NEXT