4 「何で通してくれねーんだよ!」 無汰は警備員の脇を通り抜けようとするが、警備員 は無汰の首根っこを掴んでそれを阻止する。 「ここは関係者以外立ち入り禁止なんだ。観戦は」 「俺は兄ちゃんに用があるんだ!!」 「聞き分けのない子供だなあ」 甲子園球場の警備員は困り果てていた。 小学生の男の子は頑として説得に応じようとはしない。 「兎に角埼玉選抜の屑桐無涯に会わせてくれよ!」 「埼玉選抜は今は試合中だ」 「っこの分からず屋!!」 「どっちがだ!!」 我侭を言う少年、無汰は警備員の脇をすり抜けて強行突破 しようとするが、肩を掴まれたてそれは出来なかった。 「や、やっとみつけたよ、無汰君」 全力疾走1時間強。 バス停と駅周辺を探しても見つからないと思ったら すでに選手の玄関まで突き止めていたとは。 「姉ちゃん!!」 「あれ?君、黒蝶の選手?」 「はい。女子選抜のです。この子は埼玉選抜の 屑桐選手の弟さんで、親御さんの体調が急変したのを 知らせに来たそうです。 それで、他の方から連絡をもらった私が付き添いに」 まったく嘘は言っていない。100%真実だ。 駄目なら私も無汰君と一緒に強行突破する。 「だからこんなに必死だったのか。うん、君が言うなら 本当なんだね。だったらいいよ」 名前が知られてるってこう言う時便利。 それを改めて思い知った。 だが、副作用の方が大きい気がするが、ここはありがたく 通してもらおう。 「本当にありがとうございます!さ、行こう無汰君!!」 はお礼を言ってから無汰の手を引いてドアを開いた。 「う、うん!」 「姉ちゃん…あの、迷惑かけてごめんなさい」 道を駆け足で通りながらもしゅんとする無汰に、 はクスリと笑ってからぽんと軽く肩を叩いた。 「叱りたい箇所は沢山あるけど、まずは無涯さん から何とかしましょう。 私の面倒事はさっきの謝罪でチャラ」 ベンチのドアが見えた………しかも丁度良く目的人物がいる。「兄ちゃ――ん!!!」
無汰がより前に出、大声で屑桐を呼んだ。 NEXT