23 時は7年前に遡る。この頃のは学校が好きでなかった。 「ねえ、ちゃんさそってみない?」 「えーヤダー」 「えっちゃんもヤダ。だってちゃんいっしょに いても楽しそうじゃないもん」 ぼそぼそと声を押さえていても、聞こえちゃうもの は聞こえちゃう。 チクリと胸に刺さるものはあるけど、しょうがない。 だって同級生の間で流行っている可愛いシールを集める よりも、野球をしたり師匠の家に行く方がずっと楽しい。 女の子よりも男の子の方が一緒に話せる。 同い年の子よりも、年上の人の方が気軽に話せるし、 話題も盛り上がった。 さっき誘うか聞いてくれた本が好きなエリちゃんと おしゃべりするのは楽しいけど、他の子と話すには 自分を隠さなくてはいけないようで心が疲れる。 「私、そんなに悪い子なのかな……」 帰り道でポソリと独り言してみる。 師匠が言うには、私は年相応でないんだって。 運動は魁兄とユタ以外に負けたことないし、 他の子ができないことも私だけできたりする。 それが、反感買っちゃうんだって。 でもね、ノートとかうわ履き隠したり、それを雑巾洗った 後のバケツに浸したり、ガラス割って私のせいにする人と 仲良くなりたくないんだ。 魁兄とユタには隠してもすぐ気づかれて犯人探し当てて 殴りかかりそうになったのを慌てて止めたのもこの間。 私たちが駄目な事するとお義父さんが大変になるのに…。 お陰でモノがなくなったりはしなくなったけど、 怖いものを見るような目で私をみる人が増えた。 何だか気分が悪くなってきたので、 早歩きで師匠の家へと向かった。 私の師匠、瀧野霞さんはお医者さんなの。 一言でいうと…無敵な人。 だって医師免許+少林寺拳法、剣道、薙刀、空手 の師範資格持ち。 英語と中国語が喋れるトライリンガルな人。 腕力ならお義父さんが勝つだろうけど、喧嘩なら師匠が勝つ。 口でも力でも、師匠に敵う人を私は見たことがない。 旦那さんの幸一さんでも師匠は止められないもん。 てくてくと師匠の家に行く道を歩いて…… どうしてか後ろの人が気になる。 男の大人の人でちょっと、嫌な雰囲気。 怖くなったので遠回りしても大通りを通ろうと曲がり角を 曲がって、歩く速度を速めたけど、やっぱり付いて来る。 気持ち悪いなって思っているとぽんっと肩を叩いてきた。 「お嬢ちゃん可愛いね。いくつ?」 「え、あの」 「家はどこ?おじさんが送ってあげようか?」 やだ、怖い!! バシッ 肩にかかった手を払い落として走り出した。 「あ、こら!追いかけっこかい?」 ニヤニヤ笑って男は追いかけてくる。 大人の男の人に力では敵わない。 逃げて近くの人に助けを呼びなさい。 そう両親にも学校の先生からも言われていたので人を探す。 全速力で走って道路を見回すと、マックの前で談笑している 知り合いの男子中学生を見つけた。「雪さん!!」
は飛びつくようにその名前の人にすがりついた。 「あれ?ちゃんどうしたの!?」 「へ、変な怖い男の人が・・・追いかけっことか言って」 「何だね君たちは!?その子を離したまえ!!」 そう伝えていると先ほどの男が追いついてきて、 に触れようとする。 「ヤダ!」「誰ですか貴方は!?」 白雪は反射的にを自分の後ろに庇い、その男との間に 白雪とは違う誰かが割り込んでくれた。 「おいおっさん。小っさい子怖がらせてんじゃねーよ」 赤い帽子の、金髪の人。 「な、何だね君たちは!?」「そりゃこっちが聞きてえよ。いい年したおっさんが 子供にちょっかい出して恥ずかしくねえのか!?」
その人に目を引いている隙に白雪がポケットから ケータイを取り出す。 「あ、警察ですか?小学生の女の子が変質者に追われてて。 はい、神盟中正門左脇の道のマック前に…」 雪さんが警察に連絡しているのを見て、その怖い男の人 は小さく悲鳴をあげて逃げていった。 NEXT