21 「雪さんは昨日の事を話した後、外回りに出て行ったと」 投球強化ねえ。可能性があるのは無涯さんに影州さんに 犬君、クワットロさんと沖君…王将の投手は名前忘れた。 ぶっちゃけAブロックは華武で決定だからまったく調べてない。 Aブロックは華武の独壇場だから雪さんの頭の中に Bブロックメンバーがどれくらい入っているかどう かも疑問がある。 少なくとも北海道との時はほぼBブロックメンバーだった。 「あ、公園に誰かいるぞ!?」 由太郎の声に反応して考え事を一旦中断して公園を覗くと、 そこにはお目当ての白雪と犬飼と辰羅川がいた。 あ、怖い。 は唐突にそう感じた。 冷え切った表情をする時の白雪は、失望したと切に語る ようで、今でもあまり好きではない。 「――まだ、大神の球にはほど遠い」 白竜がバットと重なり、鋭い音が公園に鳴り響いた。 「あれが…空蝉!!」 猿野は白雪のスイングに目をとらわれる。 「犬飼の魔球を難なく全球打ったぞあの人!」 そりゃ雪さんがあの4つ打てなかったら嘘よ。 それよりも、白竜はまだ打たれてなかった球だったから 犬君のダメージが大きいかな? 公園の中の3人は達に気づくことなく会話した。 「四大秘球とは至高にして究極のウィニングショット。 この4球に本来優劣はない。 全てを組み合わせることで敵を仕留める。 まだまだそこを使いこなせていないね」 辰羅川は立ち上がり、白雪を凝視した。 「あ、あなたは大神さんを知っているのですか!? このことは私共と御柳君しか・・っ!?」 「君達だけじゃないだろう?少なくとも、君達の身近 にもう一人、この球をよく知る子がいるはずだ」 辰羅川は、瞠目したまま言葉を紡ぐ。 「……やはり、そうなのですか。 さんは大神さんと知り合いだったのですね?」 御柳が勢い良くを振り返る。 ぱくぱく動く口は言葉にならないで、ただ驚嘆を 素直に表わしていた。 はその視線に答えることなく、辰羅川と 白雪の会話を聞いている。 「前々から気にかかってはいました。 彼女はソフトボールでの投手経験の割りにはあまり にも投手と捕手の練習法を知り尽くしていた」 『辰君、ここの捕球は気持ち手の平と手首に注意して…』 事細かな、それでいて必要な事を絞り込んだアドバイス。 最初はこの知識があるからこそ、監督はさんを 補佐にしたのだと納得しただけだった。 「しかし彼女はあくまでも野手だと公言していた!! ならあれ程の変化球を覚える必要性はどこにもない!!」 変化球は3,4覚えれば事足りる。 それ以上の持ち玉は練習時間が勿体無い。 「おいおい、何が言いたいんだモミーは」 猿野は話について行けず、そのままの思いを呟いた。 「で、どこで大神との関連を察したのかな?」 「セブンブリッジとの準決勝前…否、黒撰戦後でしょうか。 彼女は驚くべき鋭さで四大秘球を完成にまで押し上げました。 あれは、元々この球を知っていたからこそ できたのではないかと推測したのです」 辰羅川の言葉が切れると、白雪はパチパチと拍手した。 「うんうんイイ読みをしているね。君は昔から数学の 証明をするように理論を作るのが本当に上手だ」 「昔?辰のことはから聞いたんじゃないんすか?」 ここで、ずっと黙り込んでいた犬飼が口を開いた。 あーやっぱりかと白雪は苦笑する。 「ちゃんからじゃなくても、犬飼君と辰羅川君、 そして御柳君の君達3人のことは良く知っているよ。 その様子だと、僕を覚えていないみたいだね。 マスクしていたからか、それとも大神しか興味がなかったのか」 後者だったら寂しすぎる。 はそうツッコミたかったが、話をこじらせる訳には いかないので口を真一文字に結んだ。 「僕は君達と同じさ。僕と大神はバッテリーを組んでいた。 君達の通う十二支高校で……」 白雪の告白で、犬飼たち三人の関係がまた変動した。 NEXT