19 「大阪のミーティング会場はこの階の下でやってる って事は、この部屋と間違えた可能性ありますね」 はそんな考察をして、白雪の部屋の前に立った。 心なしか鵙来さんっぽい声も聞こえてくるので 間違えなさそう。 「失礼します」 は引き戸を開けた。 その瞬間、目に飛び込んできたのは、風にたなびいている 白い紙と、その紙に向かって刀を振る鵙来だった。 空蝉に挑戦するの!? は目を皿の様にして鵙来と吊るされた紙を観察する。 大回転打法 "独楽鳥" 爪先立ちの、くるくる回る打法。 チームメイトの話通りのものだ。 の横に、真っ二つに切れた紙の片割れが飛んでくる。 ……天才ね。 過去、自分は一枚目を切るだけで1週間かかった。 年の差があるが、それでも嫉妬に近い感情が 心に見え隠れする。 「あっ…あらあかん!ここ畳やったわ」 「ッ馬鹿ガ!!」 黄泉は日本刀を持ったまま目を回す鵙来を見て、を自分 に引き寄せ、危険から遠ざけるように自分の後ろにやった。 「黄泉さん!?」 はビックリしてひっくり返った声が出てしまう。 それに気づいた鵙来は首だけを後ろに回した。 「あら?ちゃんっあて!!」 ドサッ 言葉の途中で鵙来は畳の上で尻餅をつく。 「鵙来さん平気ですか?」 は黄泉の後ろから顔を出して、 目を回す鵙来に声を掛けた。 「!!!」「…て、てめえ!!」 「早くそいつから離れろ!!」 3人が3人とも遅らばせながら黄泉とに気づく。 「小バエヨリモ俺相手ノ方ガイイニ決マッテイルダロ。 鵙来モ戯レル相手ヲ選ベ」 呆れたような嘲笑を吐く黄泉には諌める意味合いを 持って彼の背中を叩いた。 「黄泉さん小バエって、言い草酷いです」 ウジ虫からちょっとだけ成長してるが 汚い言葉であることには変わりない。 「何何や?黄泉にちゃん、お前ら知り合いなん?」 「知ランノカ。コイツ等ハ埼玉選抜ノチームダ」 「私埼玉の高校生ですから」 「どうでもいいからはこっち」 由太郎に腕を掴まれては部屋の中に入る。 どうやら黄泉の近くに置いておくのも嫌らしい。 「、こいつとももう知り合いなのかよ」 御柳は目をいつもよりも吊り上げてに問うた。 「黄泉さんは中学の時の知り合いで鵙来さんは大阪の 4番で一試合3HRをやってのけた人だよ」 「でも初戦で当たった時、コイツ見なかったぞ」 御柳は親指で鵙来を指した。 可笑しいな。鵙来さんは豊臣高校の人だからミヤ君は 知っててもおかしくないのに。 「初戦?じゃーまだ俺ベンチやわ。ちょっと位ピンチ になったら出してもらえたと思うんやけどな」 鵙来はさり気なくキツイ言葉を吐いた。 「戯言ハソノクライニシロ。ミーティングルームハ 1フロア下ダ」 黄泉に促され、鵙来は素早く謝罪と手を合わせた。 「コレノ探索手伝イニ礼ヲ言ウ。モ付キ合イハ 慎重ニナレ」 「ほんま堪忍な。なんも知らんで馴れ馴れしく してもうてな。あ、ちゃん別やで。 これからもぎょーさん馴れ馴れしくしてや」「はこっち側に人間なんだよ! 誰がんなことさせっか!!」
猿野の吐き捨てた台詞に、黄泉が失笑したのがまた 彼等の癪に障った。 NEXT