9 「群馬選抜が可哀想になってきたっすね」 子津の本音に、猿野と辰羅川が青い顔して頷いた。 これが群馬でなく自分たちだったらと思うと、 かなり辛い。 「スリーアウト!チェンジ!!」 忍がトントンとバットで肩を叩いた。 「おっと流れを止めてしまったか。 しかし、ここまでやれば十二分と言ったところだな」 そして、目線はスタンドのスコアボードへと。 「大量得点 終盤逆転 可能性皆無」 「0-13、絶望的で不吉な数字をはじき出したものだね」 緋慈華汰は朝ごはんの魚の骨を齧る。 「元々狙っていたのだろう。は兎も角、霞先生は策 を立てるのを好む方だ。今までのは我等黒撰の"見"と 同類と見て問題ない」 「(この打線ってダブルチャンス打線だったんだね)」 「司馬君がこの打線って十二支緒戦のダブルチャンス 打線だったんだねだって」 「こりゃダブルチャンスどころかマシンガンだRo」 十二支組の司馬、兎丸、虎鉄はどれだけの 体験が元にあって試合をしてきたかじわりじわり と実感させられる。 知っていたつもりだった。 しかし、足りなかった。 強い。 その単語が重く圧し掛かる。 恐らく、否、間違いなくそれが今重く圧し掛かって いるのは群馬選抜だ。「何やってんだお前等は!!」
群馬選抜監督の白砂が怒声が広がる。「相手の試合経験はこちらより圧倒的に少ない!! それなのにこの様だ!!皇海!次の回は違う奴で行く!! ベンチで反省していろ!!」
俯いて一言も発さない選手にさらに怒りが募るが、 白砂監督はどかりとベンチに腰を落とした。 「皇海さん……」 「ヒロ、何だあの女?」 飲まれた。 負けたとかそういうのじゃない。 ただ、ふつふつ湧き上がる感情を抑えさせなかった。 こいつに、投げてみたい。 それだけで、敬遠できなかった。 「何であいつ女なんだよ。もったいない」 綺麗で、姿勢もすっと伸びて、女らしさもある。 でもあの実力はそれを投げ出して、 男であってくれたらと思った。 「全力は出した。それは自信持って言える。 でも、勝てなかった」 どうして俺は3年なんだ? は1年なんだ? これが最後の対峙だとしたら、俺は後悔する。 もっと、もっと挑戦したかった。 「それがなんです」 そう、諦めさせてくれない。 あいつはだから残酷なんだ。 群馬選抜最後の打者が打席に上がった。 「っは、随分好き勝手やってくれたな」 裕仁の捨て台詞に、ベンチの霞は不敵に笑った。 「油断するならその隙に私達は躊躇無くつけこむ。 試合相手が誰であろうが力量を読むのも実力のうちだ」「ゲームセット!!勝者女子選抜!!!」 「「「「「「ありがとうございましたー!!!」」」」」」」
グラウンドに整列して、戦っていた2チームの選手の 声が合唱された。 「へー噂に違わす凄いやん黒蝶。他の選手も思っとった より動けとるし、戦うの楽しみや」 鵙来は黄泉の相槌を待っていたが、黄泉は憮然として 動く気配はなかった。 「どうしたんや黄泉?」 「イヤ、何デモナイ。帰ルゾ」 ヤハリ、日本ハ小サイ。 、オ前ハ受ケ入レラレ切ッテナイ。 女子選抜、0-13の完全試合で初戦突破。 +*+*+言い訳+*+*+ 私は生まれも育ちも群馬県で群馬大好きです。 気分を害された同郷の方がいらっしゃったら 深くお詫びします。 NEXT