4 次の日、昨日とは正反対の快晴が広がっていた。 「…同じ球場にいるのにアナウンスとラジオって寂しくない?」 はノースリーブのアンダーシャツを着ながら 心中の不満を呟いた。 更衣室に備え付けられていたラジオはただ今試合中の 埼玉VS北海道を流していた。 折角ミヤ君とお猿君仲直りしたんだからスタンドで応援 したかったなー。 「おいおい、急に調子よくなったな埼玉」 「昨日の今日で何故調子に乗ってなはるんやろ?」 『いった〜三者連続ホームラン!!ゲームセット!!!』 球場を揺らす歓声が轟いて、不機嫌そうにせあらは頬を ふくらましている。 「決勝で戦うっていったのに、道楽のバーカ」 「刀祢さん次私達の試合だから行こう。戦いたい奴が 負けても、私達が負けるのは許されないからね」 恵子の決意の台詞は彼女達の譲れない一線を表わしていた。 +*+*+* 場面変わって最後の挨拶をし終わったグラウンド。 「どうだ見たか聞いたか驚いたかお前ら〜!?」 「勝ったぞー!埼玉はいっちゃん強いんだかんな〜」 昨日の鬱憤を晴らしてはしゃぎまくる姿は勝ったばかり なのだし許せてしまう。 「ふう〜('〜`;)一回戦からえらく手こずった気〜」 「まーったく俺様がいなきゃダメダメっすね〜」 「喧嘩して試合出させてもらえなかった奴の言う 台詞じゃないング」 白春のツッコミは刺繍針が心臓に刺さるような 痛みを御柳に与えた。 「皆まずは埼玉代表の栄えある初戦突破おめでとう。 今日の夜はお祝いに奮発しちゃおっかなー」 白雪はポケットから見せびらかすように ガマ口財布を取り出した。 それを聞いた育ち盛りの高校球児からは焼肉やらカニ やらと高そうで量のあるメニューが口々に飛んでくる。 そこに重量のある足音が埼玉選抜に近寄った。 「ちょいと埼玉の…今カニと言ったべか?」 「あ゛〜カニ食いゴリラ共〜!!」 カニ食いゴリラでなく長万部道楽である。 「いやな昨日はひでえ事言っちまって悪かったべよ。 カニだったらわしらの滞在用の特産品余っちまったから 別けてやれると思ってよ」 「えっ!?特産品て北の幸が食えんのか!?」 由太郎がその話を聞いて目を輝かせた。 「ウチの家が漁師やってっかんな。おめえ達の分も沢山あるべよ」 「ちょっとちょっと、そんな高価なものを僕らに 分けてもいいのかい?」 白雪が不安そうに待ったをかけるが白糠が懐からチーズを 取り出しながら説明してくれた。 「どうせ俺等以外も食うんだから今更こんくらいの人数 増えたって構いはしねえべ」 「北海道以外にどっか来るのか?」 御柳がそう聞くと、ちょっと照れくさそうに長万部が 説明を続ける。 「女子選抜選手だべな。今日これから試合だから祝勝会一緒に しちまおうって話だったんだべ」 「おめえ等埼玉も黒蝶がいっから応援すんだろ? 俺等とこもせあらがいるからこのままスタンド行くべ」 「せあら…ってどれだ?」 猿野は女子選抜の顔を思い浮かべるが、知り合い以外は まだ顔と名前が一致していない。 「眠たげにしてた子だろ。烏兎先輩に似てるから覚えてた」 由太郎がそう言って猿野はああと納得した。 「もう次のプレー時間なるべ。おめえ等もさっさと 上がっとけな」 「監督、次の予定の話ですが…」 「試合観戦だよ。僕も応援したいしね」 牛尾が白雪に頼もうとする前に許可の言葉をもらい、 北海道も埼玉も女子選抜応援スタンドに向かった。 NEXT