ドリーム小説


2







「緊張した――!!」

開会式がやっと終了して、は大きく背伸びした。

「お疲れ様」

ポスッと濡れタオルをの頭に落とすはありがたくそのタオルで顔を拭いた。

「今日は山形vs鳥取、東京vs宮城か。は東京応援いくの?」
「おう。知り合い出られるっぽい。も見に来る?」
「パスしとく。明日の午後が埼玉と北海道だからそっち
見に行きたい」
「そんでもって北海道の勝利〜」

びたーっとの背中にせあらが張り付いてきた。

ずしっと体重がかかって重くなったがは
直立不動でそれを受け入れた。

「ちょっと、せあらさん、聞き捨てならないよそれ」

むっとして返すにだってさ〜とのんびりした
口調でせあらは反論する。

「バラバラチームに負けるほど北海道甘くないもん。
乙女ちゃんも道楽も狼牙も強いもん」
「人名はわからへんけど、確かに埼玉はバラバラやね
グサリッ

由乃の一言がの心にぶっとい針が刺さった。

「ピッチャーが我侭すぎよね」

ザックリ

瞳の1打も言い返せないで壁におでこをくっつけて
落ち込んでみせる。

それでもまだの背中に張り付いているせあら。

中々笑える光景だ。

「……ポテンシャルは、埼玉が上だろうけどさ」

の呟きは、の耳には入ってくれなかった。



+*+*+*



翌日、甲子園球場には黒く、重たそうな雲が広がっていた。

「あ、いたいた。おーい皆〜」

は埼玉スタンドの近くにいた十二支に手を振って近づく。

「さん!選抜練習はいいんすか?」

子津がに駆け寄って一番にそう聞いた。

「許可得てきたから平気。私達のチームは全国からの
集合だから、自分の県応援は比較的認められてるの。
何も言わないでこっちに来てごめんね」
「殿の身の安全が確認できただけで重畳。
気にすることはない」
「(女子選抜の応援もちゃんと行くからね)」
「ありがとう司馬君。さーて、スタンディングメンバーは?」

はスクリーンに掲げられた名前を確認しようと
目をそちらに向ける。


埼玉選抜
1霧咲  
2朱牡丹
3神鷹
4牛尾
5村中(魁)
6中宮(紅)
7小饂飩
8虎鉄
9久芒

「ふーん、十二支は牛尾先輩と虎鉄先輩が入ったか。
今の状況じゃ妥当ってことかな?」

「私は攻撃力に欠けるメンバーだと思いますが?」

辰羅川は眼鏡の位置を直して自分の感想を述べた。

「だって、ミヤ君とお猿君喧嘩中だし、ユタが出ないのは連帯責任かな?
確かに、攻撃力よりも俊敏性と対応力のあるメンバーだと私は思うけど」

それに、魁兄なら早々は点とらせないだろうし。

ポツ ポツ

「雨が降ってきたな」

降ってきた雨粒が蛇神の手のひらに落ちてきた。

「これは、下手すると中止になるかもしれませんね」

遠くで、落雷の落ちる音がした。





ズパァッ

小町が投げられ、分裂を増やしていくのだが。 「さっきからこんな揺れ球しかねーんべか? 内地の者は大した事ないの〜。 道産子の力さナメるんで無ぇだ!!!」

ガガァァン  ゴオォォン

打球は打ち返され、スタンドでけたたましい音を作り出す。 「そんな、魁兄の小町がこんなに簡単に 打たれるなんて!!」 3回ですでに北海道に7点入れられた。 魁兄に、何かあった?

ピガァア ドドォン

雷雨が強まり、雷がかなり近い場所に落ちた。 「これじゃ、もう試合は無理だよ。 3回までだったのは不幸中の幸いね」 もう傘を差したとしても無意味なほど濡れてしまっている。 スピーカーから流れるアナウンスは、 明日の再試合を通告していた。 NEXT