#08
『これは大波乱です!!当初は激戦と予想を裏切る一方的な
ゲームとなりました!!!』
スコアボードの華武の0が異様に感じる埼玉選抜。
160km/hの投手には、策も何も通じることはないと物語っている。
『さあこのまま華武高校ラストバッターになってしまうのか
最終回ツーアウト4番御柳君』
「うわっもう最終回!?」
は全速力で走って観客席の出口から出てきた。
ユニフォームのまま、道具をカバンに無造作に詰め込んで
急いできたに、スコアボードは驚きを運んでくる。
一緒についてきたは金網を破らんばかりに掴み、
マウンドを凝視する。
「しかも何でアイツが日本にいるのさ!?」
「知らないよ、埼玉の皆は…」
「、あそこあそこ!」
がの襟首掴んで無理やり方向を変換させ、
目立つ髪色の多い集団を発見した。
とは人の波を泳ぎながらその席へと向かった。
「皆さん説明お願いします!」
「、その様子だと勝利した様だな」
挨拶もなしに現れた義妹に魁は暢気ともとれる口調でそう言った。
「5回コールドで優勝してきた!それよりも
この状況は何!?華武がこんな一方的なんて…」
自分のことは後回しにこの試合の経過を聞こうと急かす。
牛尾は宥めるようににそう言った。
「どうもこうも、160km/hに手が出ないんだよ君」
それでも、あの無涯さんがどうしてこんな点を取られるの?
は下のグラウンドを見る。
御柳は怒髪天を貫くといった様子で打席に入っていた。
「来いやくそったれ〜〜!!」
「おーあれでこそ御柳だ」
「変な感心の仕方しないで」
雉子村はその御柳に冷めた目を向け、力なくフッと球を手放した。
「「「「「は…!?」」」」」
いきなりの気の抜けた球に一同唖然とする。
『な、なんと下手投げ!?そのまま下から軽く放っています!
まるで打ってくれと言わんばかりの力のない投球だ!!!』
「日本ニハガッカリダ…ホラ、コレナラ打テルヨナ?」
ブチッ
「あ、キレた」
の冷静な一言が奇妙に耳に残った。
「クソがぁ〜〜〜!!!!!」
『打った〜!!怒りのこもる凄まじい一撃だー!!!!』
「当たれやクソ野郎!!
そのままくたばっちまえ〜!!!」
しかし、その願いは虚空に消えた。
バチィッ
球は雉子村の手のひらに収まる。
圧倒的な力が、グラウンドを制覇した。
「アウト〜!!ゲームセット!!!!」
私は、華武の力が一気に抜けていくのを、肌で感じた。
「Everything is trivial. I've expected,that's Jananese
Baseball. Huh…」
遠くを眺めるように黄泉は空に言葉を投げる。
「何て言ったかわかる?」
「んにゃさっぱり」
もも耳に届かない。
届いたとしても訳が出来ずに首を傾げただろうが…。
雉子村がマウンドを降りるのを見ると、金網を掴んで
見ていた猿野が急に中へと走っていった。
「お猿君!?」
なんか、様子が変だった…。
「追いかける」
「あいよ」
2人の後に同じように猿野の様子が気になった数人が一緒に追いかけた。
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