#04









バックネットに取り付けられた扉から彼女たちは入ってきた。


先に口を開いたのはでなく…。


「おーす。十二支の人は久しぶりー」


の後ろにいるが朗らかに手を振った。


「君は君のキャッチャーの…」

「加西っす。あれ?あの人十二支にいたっけ?」


「牛尾御門先輩。あの時は入院してて出場しなかったの。

牛尾先輩、今の今まで連絡出来なくてすみません」


「心配したよ」


ほんの少し怒気もある声でそう言われて、しゅんと肩を落とす


「…はい。すみませんでした」

「うん、元気そうで良かったよ。敵になっちゃったけど、
戦えるのを楽しみにしているよ」


クスッと1回笑い、の肩に手を置く牛尾。

はぐっと胸に拳をあてて、声を上げた。


「…あの、十二支もそうなんですけど他校の人も、いいですか?

私が、女が公式の大会出るのを、許してもらえますか!?」



その場にいる全員が面食らった。

はドキドキ不安に高鳴る胸を押さえ、返答を待つ。



魁兄とユタは大丈夫だということは知っているが、
今年あったばかりの人達は分からなかった。


女子は甲子園に出られない。

そう合宿の時、部員に言ったのは、自分自身。


否と言われるのが怖かった。


仲良くなった彼らからその返答が返ってきても、

私はもう引き返す事ができない。

そうしたら、彼らを裏切るしかもう道はない。


「ずっと、大会に出たいって思ってました!
出場できるアナタ達がとても羨ましくて、
嫉妬することすらあった!」


本当の気持ちは留まるという言を知らずに空へと駆けて行く。


「このチャンスを逃したくないんです!
駄目と言われてもおかしいといわれても、
私は「ストーップ!!」「あだっ!」


猿野がピンッとのおでこにでこピンした。


「誰も駄目なんて言ってねえよ」


先ほどまで御柳と喧嘩してたのとは裏腹は笑顔でそう言い切った。


「猿野の言うとおりアル。朕はと戦えるの嬉しいヨ。
それ駄目なんて言う人間が駄目人間アル」


ワンタンが怒ったようにそう言ってくれた。


ちゃんその辺の奴らよりずっと強いングから戦い
甲斐ありングするよ」


久芒は鼻を拭いてそう言った。


「僕と同じネガティブしなくてもいつも通りでいいよ」


沖もそう答えた。


「ほら、問題ねーだろが」


猿野がでこピンされた額を押さえて、恥ずかしそうに
頬を赤らめて俯いた。


「…ありがとう…ございます」


服の裾を掴んで俯くを、が自分の胸に迎え入れる
ように抱き寄せた。


「良かったじゃん」
「うん」


わしゃわしゃとの髪をかき混ぜるに他のチームメイト
は顔を見合わせて苦笑しながら息を吐く。

何だかんだで、彼女らはが好きで、それ故心配だった。

割り切れると本人が言っていたけれど、顔を見ればそれは
無茶だとすぐに分かったから彼等の言葉に安心する。


「でも〜!」

ぐに〜っと由太郎が笑顔なのに額に怒りマークをつけて
の頬を引っ張った。


「はひふふほふは(何するのユタ)〜!!」


の胸から離れて今後は由太郎と兄妹ゲンカを始めて、
一同目を点にした。

由太郎がこんな風に怒りを見せるのは初めてだった。


「俺と兄ちゃんに一言の連絡もないのはどういうことだ?」

「はって(だって)〜!」

「由太郎、そのままではが話せぬ」


魁がやっと由太郎の両手を叩いての頬から手を離させた。


「っ痛〜だってお義母さんには知らせたってが」


は引っ張られて更に赤くなった頬を撫ぜながらを見た。


「うん、の荷物取ってった時に大会の事とここまで
くるって事は知らせたよ」




『んじゃ、ママ、お借りします』

の最低限必要な道具をカバンにつめて
玄関まで見送ってくれた村中母に別れの挨拶をした。


『ええ。義娘をよろしくお願いしますね』

『了解っす』



「っとこんな会話してから道端で車にひきずり
込んでこっちまできたと」

「人が見てたら拉致現場よあれ」

の家の本物のヤクザの黒塗り車に乗ってやってきたのだから
確かに誘拐事件に見えて正解である。


「成程、それ故球場に携帯含めた荷物を置いていったのか」

「お袋に言われて服とか旅行道具持ってきたけどどうするんだ?」

「埼玉選抜は新西宮ホテルよね?私たちも同じホテルだから後で取りに
行くよ。でもほっぺたつねる事ないじゃない」

「親父の拳骨よりマシだろ」

「それはそうだけど、でも何でお義母さん2人に伝えなかったのかな?」




その頃の村中母。


「今日くらいには魁と由太郎、と会うかしら?」

「奴らももう少し離れさせんとな。ちょっとくらい
心配するぐらいが丁度いい」





真相:両親の悪巧み。


















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