#02









兵庫県某球場




『ゲームセット!勝者チーム"零"!!』


「「「「「「ありがとうございました〜!!」」」」」」」


響いた終了の挨拶はソプラノとアルトの合唱だった。




勝利したチーム"零"は球場の内部の廊下をわいわい
おしゃべりしながら歩いていた。


「絶好調じゃんうちら♪これで3試合連続勝利か。
このまま全勝して選抜枠勝ち取るよ!ね、


チームメイトには話しかけられ、更衣室のドアを
開けながらふっと顔を上げた。


「っえ?ゴメン聞いてなかった」

「っか〜コイツは!試合の時と普段のギャップ
ありすぎなんだよ!何だその素直そうな顔は!!
さっきの鋭い気迫はどこいった!?」

「っ比嘉さん痛い、苦しいですよ!」


腕を首に回されては止めてくれとペチペチその腕を叩いた。


「やっちゃえ比嘉ちゃーん」

「そうよ、どーせまだ例の事で悩んでるんだろうし。
もう後戻りする気皆無のくせしてさ」

「人の心境的確に言い当てないでよ琴美!」


拘束を少しでも緩めようと暴れたらぱさりと黒帽子が落ちた。

いつもは首の後ろに結んでいた髪は今はポニーテール.

青の髪紐で括って日の光に焼けていない白のうなじが垣間見える。


「あぁ!比嘉さんホント離して!」

「えー」

「えーじゃないです!帽子拾わなくちゃ!」


自分の手を間に挟んで腕をとろうと悪戦苦闘していると
ぽすんと落ちていた帽子がの頭に乗っかった。


「拾った」

「ありがと忍」


疲れた顔では忍にお礼をいう。


「たいした事じゃない」


が共にいる彼女らは女子選抜候補、チーム"零"。

中学からの知り合いも多いので会った日数からは
信じられないほど打ち解けていた。


ふっと視線をずらして忍は時計をみた。


「そろそろじゃないか?」


そう言われても時計に目を移した。


「予定だともうホテルには到着してるかな。

じゃ、私ちょっと行ってきます」


それじゃ、と自分の荷物を掴んでは逃げようとすると。


「ちょい待ちな。


がしっと肩をつかまれ行動を制止させられた。

はぎこちなく首を後ろに回す。


「アタシ達も興味あるから付いてくよ」

「それじゃ早く行かなくちゃだね」


……ゴメン皆。


は心の中で知り合いの球児たちに詫びた。









同時刻。

埼玉選抜に選ばれたメンバーが何をしているかというと
着いたホテルで新監督、白雪静山と対面していた。



「ようこそ埼玉県代表の皆さん。僕が高野連から直接指名
された埼玉チーム総監督、白雪静山です」


柔らかな青を帯びた白髪と黄色のスーツと帽子に身を包んだ
青年が全員の前で自己紹介をした。

誰もその前の人物を知らないので、こんな若い人が監督で平気
なのかと疑っているような目をする者も少なくない。


「じゃあ早速チームをまとめてもらう代表主将を決めようか」


白雪はピンと張り詰められた空気の中、チラチラと彼らの顔を
見て、1人の人間に焦点を合わせた。


「じゃあここは華武校主将の屑桐君にお願いしようかな?」


ぽんと屑桐の肩に手をおいて白雪はにっこり微笑んだ。


「……はい」

短い了承に頷いて、白雪は肩から手を離し、全員に
代表選手用のユニフォームを配らせる。


う〜ん、話通り、くせの強そうな子たちが多いな。

この子たちをまとめるのは大変そうだ。


そして、埼玉選抜は練習のために近くのグラウンドへと場所を移す。



+*+*



「じゃあ今からミニゲームをやってもらいます」


まるで個人の関係を知っているのではないかと勘ぐってしまいたくなる
4人チームをちゃっちゃかと編成して白雪はそう言った。


「えっ?4人でどうやって」

「イブニングは4回、ベースは1・3塁と本塁の三角ベース
を使います。野手の守備位置は各チームご自由に。

ではまずAチームとBチームで4人野球スタート!」


Aチーム 
投手:犬飼 捕手:由太郎 1塁:猿野 3塁:御柳

Bチーム
投手:クワットロ 捕手:? 1塁:? 3塁:小饂飩


「華武高校の選手たちは各1チーム1人づつにバラけてるのね。

華武高校と他校の折り合いが総力戦までの課題になりそうだわ」



紅印は的確に問題点を指摘して、今までの行動を見てその難しさ
にため息が出てしまいそうだ。



















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