#31











そして、十二支の最終攻撃。

9番子津と1番兎丸はボールをいくつかとるが、
あえなくアウト。


「ボール!フォアボール!」


猪里が1塁へと足を進めて、
同点ランナーを送ることができた。


「やっと1人出たぞ!!」

「頼むモノにしてくれ〜!!!」


一心不乱にそう願う十二支の期待。



「後は…いけるよね、お猿君」


はパンッと猿野の背中を叩いた。


「おう」


棟梁からもらった木のバットをしっかりと握り
締め、打席へと歩いていく猿野の背中を仲間は
沈黙しながら見守った。


「こーゆー時こそ、この猿野様がホームランで
逆転してみせるしかないっしょ」


こいつなら、なんとかなる。

そんな信頼が作り上げられるほど、猿野天国という
選手は成長した。


『3番サード猿野君』


お兄ちゃん、猿野さん…。

凪は静に目を閉じ、祈るように手を組んだ。



剣菱が振りかぶって、投げた。


球種は、MFB!


ズバアァン


「ストライクワン!!」


剣菱は苦しそうに息を吐く。

剣ちゃん、苦しそう。


キャッチャーからはマウンドが良く見える。


もう貴方とバッテリーを組むのもこれで最後なのね。

せめて、貴方が戦いたがっていたこの子で終わりにしましょう。


すっと、ミットを構えた。


くそ、この微妙なブレにかする事もできん。

あと1球、当てられなければ俺達はここで…。


猿野はそこまで心の言葉にして、否定するように
首を振った。


馬鹿野郎!当てんだよ、勝つんだよ!!

ここで終わればもう皆は揃わなくなる。

蛇神先輩なんてまだ復帰してもいないんだぜ!!

死ぬ気でやっと特訓も、負かしていった学校の
奴らの思いもかかってんだ。

うるせー時もあるけど、頼りになるあいつらも…それに…。


猿野はベンチにいる凪と一緒にいるをみた。


凪さんを甲子園に連れてくんだろ!!

の奴に十二支にきて正解だったって
他の奴に知らしめるんだろ!!

あいつは、自分の気持ちを押し殺しても
俺達を強くしてくれたんだ!!



もう少し、もう少し。


剣菱は胸の痛みを感じながらそう心で呟いた。


まだ、投げたいんだ。

野球をしたいんだ。

紅印、影州、雀、ワンタン、土本、富豪、三葉、烽火、
古家、宝町、兜鍬、東蘭風監督、凪……それに…。


剣菱は文字通り、死ぬ気で腕を振り上げた。






『剣菱さん』









ちゃん……ごめんね。










一番最後に脳裏に浮かんできたのは、
綺麗に笑う惚れた女の姿だった。







ドバアァァン




凄まじい音が、ミットから放たれた。


























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