#30










「犬君、よくここまで粘ってくれたわ。次は子津君いくよ!」

「はいっす!!」


の投手交代宣言に子津が思いっきり良い返事を返した。


「もう試してるから分かってるとおもうけど、
キャッチャーは辰君のままでいくよ。

お猿君は最後の最後まで捕球癖が
直らなかったからね」

!今ここで暴露すんなよな!!」


猿野がビシリとツッコミ手を入れようとするが
体を斜めにして避ける。


「あら?次の回はお猿君に絶対打ってもらわなくちゃ
なんだから鋭気を養う時間増やしてあげてるんでしょ」


はそう言って猿野を言いくるめた。


そこに、セブンブリッジの主要メンバーが帰ってきた。


剣菱さん、出るの?

もう、限界でしょ?


それは遠目からの呼吸の様子、顔色からも予想がついていた。


それと一緒に、諦めていない目も…。


「ホッ長い連れションだったのう」

「……はい」


『9回表十二支は投手交代。犬飼君に代わって抑えの
子津君です。セブンブリッジ1番サード霧咲君』


アナウンスが再開される。

その時、東蘭風が小さく咳をしたのに気づいた者は
誰もいなかった。


打席に入った霧咲は、居合い切りのような構えを崩さない。


そして、この回では強い雰囲気が一層研ぎ澄まされている
ように子津は感じた。


子津は肩を引き、下につくかのような振りかぶりで
燕を投げた。


ドパアァッ


キン


一発でヒットさせ、打球は子津の右頬を掠めていく。


そこに。


パアンッ


司馬がすかさずキャッチした。


『交代したての子津君を迎撃するかのような強烈な
ライナーは守備の鬼のショート司馬君が通さなかった!!』

「司馬君ナイス!!」


2番手ワンタンが打席に入った。


ワンタンは先ほどの霧咲と同じような鋭い雰囲気を持っていた。

慎重かつ、きわどい投球にしなくちゃっすね。


子津は辰羅川と目配せをした。



1投目。

「哈!!」


パアァンッ


低い燕が辰羅川のミットに収まった。


「ワンタンさんのはある程度の高さがないと打てない
打法。低い燕は天敵よ」


そして三振でワンタンをやり過ごす。


3番紅印には。


パアンッ

「ストライク!」


「サイド?なんだあのもの凄く遅い球は!?」


影州が身を乗り出すようにその球を見て
驚きを表わした。


「ここでサイドスローでくるなんて、セブンブリッジ
なら思わないもの」


2投目は普通の燕。

3投目は。

スパアンッ



「アウト!スリーアウトチェンジ!!」


砂に隠れた燕を捉えきれず、セブンブリッジの
最後の攻撃は終わった。
















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