#24











『4番ピッチャー鳥居君』

アナウンスの流れで剣菱が打席に入った。

来ましたよ犬飼君。


若干冷や汗を流す辰羅川はキャッチャーマスク
をかぶり直す。

先ほどの反応が気にかかる。そう思わせる動作だった。


「ついに見つけたよ。天竜最大の大弱点を」

「どうだか…かすりもさせずに終わらせてやる」


両者、一歩も引かない言動、目力のこもる視線がぶつかる。


「剣ちゃんたら自信満々だけど何かわかったのかしら?」


紅印は人差し指を下唇に触れさせて首をかしげた。

ワンタンと紅印の対策では太刀打ちできなかった点を
見る限り、天竜の弱点はない。


強いて上げるならば、長い滞空時間と独特のフォームくらい。

辰羅川はランナーのいないこの状況で天竜以外の球は
考えないであろう。


犬飼は振りかぶり、大空へと球を投げ出した。

来る!


剣菱は目線を下にずらし、バットを大きく振った。


「おいアレを横から捉えるつもりか!?」


平泉がそう声をあげる中、は額に手を当てた。


「その通り・・・でしたね」


あちゃー本当にもうバレちゃった。


「えっ!?打ったのか今?」

「ほら、あそこ」


は打席の右脇に食い込んだ球を指し示す。

えぐられた土に生えるように球が存在した。


「ファール!」


主審は半ば遅れたファール宣告を出した。


「ど、どんな力だよ…地面にめり込むなんて…」

「バケモンかあいつは!?」


十二支スタンドに動揺が走り、七橋には天竜の糸口に
大きくざわめいた。


「う〜ん、天竜の弱点…もうバレたとしたらどこかな」

「えっ!?あの球弱点あるんすか!?」


子津は飛び上がりそうなくらい驚く。


「あるよ。私もそれ使えば打てる自信あるし」


でもそれは私が大神さんとの関わりがあったからで、
決してその場の発想力でもバレるような行動が
なされた訳でもない。


、お前はあの球のどのくらい知っているんだ?」


羊谷の問いかけには軽く目を伏せた。


「知っていても、決して私が投げる事がないくらいです」


これ以上ないくらいにきっぱり言い切ったに、
羊谷は目を瞠った。


「ほらほら、2投目いくからグラウンドに集中!
まだ本当に剣菱さんが打てるかは決まってませんよ!」


2投目、先ほどと同じく天竜が上空へと飛ばされた。

そして長い滞空時間、辰羅川はちらりと剣菱を盗み見た。

そして、上でなく下を向いている剣菱に驚愕した。


馬鹿な!球がすぐそこまで来ているんですよ!?

ここだ!!


バットを振った。


ギイィィンッ

当たりの良い金属音が耳に届いてくる。


『打った〜〜〜!!!これは大きいぞ〜!!』

打球はライトボール際、ファールかインが危ない直線を
進んで軌道を描く。


「おい入んなバカ〜!!」


猿野の必死な叫びが届いたのか、球は線外側のポール脇
を突き抜けていった。


『ファ、ファール!!惜しい〜!!後一歩で鳥居君
スタンドインのところでした〜!!』

、これは弱点がバレてるのだ」

「言われなくても今確信しましたよ鹿目先輩。
監督、残りもう1球使わせますか?」


もう伝令に出る用意をしてはそう聞いたが、
羊谷はそれを制した。


「もう1球はできれば華武に考えておきたいのが本音だ」

「あっちも準決勝中ですけど、3軍あたりに偵察させている
と考えるのが妥当ですよね」


辰君あたりが弱点に気づいてくれますように…。

3投目、予想通りの天竜。しかしちょっとだけ速さが
増している様子。


リズム崩しできた!でも…弱点に気づいている剣菱さんに
それは通用しない!


「…あれ?ビミョーに速くなった?」

「えっ!?」


辰羅川はまさかと目を瞠る。剣菱が見ていたのは地面に
落ちる丸い影だった。


グワキィィン

痛烈な打球がライトへ向かう。

牛尾はわき目も降らずにフェンスへと走った。

フェンスの金網を蹴り上げ、球をキャッチする。


バチィッ


「と、捕った〜!!」「流石牛尾主将!!」


危機一髪と十二支サイドが喜びをあげるが。


「ぐああ」


牛尾のグラブが耐え切れなくなり、球と共にフェンスの
外へ落ちていった。



『入った〜!!反撃の口火を切るソロホームラン!!!』


1−3、十二支優勢。

























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