#23









『4回表セブンブリッジの攻撃です』


2番からなのでワンタンが打席へと進み出る。

「ワンタン先頭打者のお勤めしっかり頼むわよん。
できるだけ天竜ちゃんを投げさせてあげて、
剣ちゃんのためにもね」


「百も承知ネ。朕達が失敗しても剣菱なら絶対この打席
から何かを学習してくれるヨ。じゃ行って来るネ」


一振りだけ紅印に手を振ってからワンタンは
バットグリップを握った。


「中華4千年の歴史見せてやるヨ」


ジャコっと音がしてワンタンのバットが3等分され、
それらは鎖で繋がれる。


「げっ!?バットがヌンチャクに!?」


ヒュンヒュン体の回りで回してヘッドを押さえて
ポーズをとって元の形に戻した。


「好!」

「何今のバット〜カッコいいじゃん!!いいないいな〜」


兎丸は目を輝かせてそれを眺めた。

しかしヌンチャクにする意図がまったくわからない。

この方は初回で飛竜の効果をまっすぐ付き返す打法を
使っていました。ならば飛竜以外でいきましょう。


辰羅川は犬飼に合図を送って、
犬飼は大きく振りかぶった。


天高く投げられた球は一定角度に達すると落下する。


これが天竜ネ。こんな球中華球雀にもないヨ。

でもさっきみたいにそっくりそのまま返してやるヨ。


ワンタンはすっとバットの頭を球と水平にした。

そのまま打ち返すつもりだ。


中華球雀"対空国土""十三面待ち"


「哈!!」


掛け声と共に打ち崩そうとするのだが、球はヘッドを
かすって辰羅川のミットに収まった。


ズドォォン


「ストライ〜ク!」


ワンタンは審判の判定を聞いても目を瞠ったまま
呆然をしていた。


「無駄だ…降ってくる雨粒に針を通す様なものだからな」


犬飼はそれだけをトドメ代わりに言った。

ワンタン三振でワンアウト。



ワンタンはトボトボと落ち込みながら足を引きずって
ベンチに帰ってきた。

「朕の中華球雀も歯が立たなかたヨ…」


紅印は落ち込むワンタンの意識を戻すためにヘルメットに
コツンと拳をぶつけた。


「お疲れワンタン。アナタの打席決して無駄じゃ
なかったわよ。だってアタシの攻略法でバッチリ
だという確信が持てたからv」


今度は紅印が打席に入るために歩く。

『3番キャッチャー中宮紅印君』


バットを唸らせる様に回す紅印。

1・2投目は違う球種で見送った。


「あら嫌だわぁもう次でお終いじゃないの」


そして3投目、天竜がやってきた。

改めてみてすごい高さだこと。
これは今までの打者が戸惑うのも判るわ。

でも、これならどうかしら?


一度高くバットを上げて、そのまま急降下させる。


そして今度は球とタイミングを合わせて膝を付いて突き上げた。


超高角打ち上げ式アッパー"幻惑のシャネルNO9"


ガギィィン


「当てた〜!?」


当てた!それなのだが、距離は伸びないで
犬飼のグラブに納まった。


「この程度じゃ天竜は破れねぇ」

「アウト〜!!」



「ワンタンさんのやり方も紅印さんのやり方も当たった
としても遠くに飛ばすのは無理でしょうね。
そのやり方では天竜を空にまた飛翔させられない」


最も、弱点を見切られれば今の犬君では天竜で
抑えるのは無理になってしまうけど。

でもそう簡単にバレるものではない。


「この回は持ちそうだな」

「そうですね。できればこの調子で最終回までいきたいです」

膝をついたままの剣菱は雑念をすべて払ってワンタンと紅印の
打席をシュミレーションした。

やはり、横から打たないと飛ばない。

何かタイミングをつかむ目印がないか?


「剣ちゃん忘れ物よ〜」

紅印が剣菱がヘルメットをしていないことに気づいて
投げてよこした。


剣菱はそれを顔も上げずにキャッチした。

「よく見ないでキャッチできたわね〜大丈夫?」

「ああ、それはヘルメットの影が…」

待て、影!?


「紅印ありがとう。すっごく助かった!!」


そうか、この方法なら天竜を打開できる!!














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