#20
『さあ十二支高校1回につづきこの3回も1・2塁の
絶好の場面でまたしても3番の猿野君に廻ってきました!』
打席に入った猿野に紅印が揺さぶりをかける。
「また貴方ね。これまでの試合を見ていればヘタ打つと
どうなるか分かってるわよね」
猿野はそれをモノともせずに言い返した。
「打たねーでどうやって点とるんだよ。さっきのトリプル
の借りはきっちり返させて貰うぜ」
猿野は目だけを紅印にむけてそう言い返した。
まずは一投目が投げられると一斉にランナースタート。
『なんと〜〜3番猿野君いきなりバントの構えだ!!』
全試合過程で初めてのバントを見せるが、
フォークボールで当たらない。
「セカン!!」
紅印は球をキャッチすると直ぐさま兎丸を仕留めよう
とするが。
「セーフ!」
ギリギリでセーフ!
「いや〜バントって思ったより難しいモンだな〜
こりゃマジで慣れねーことはしねー方がいいかもなぁ」
揺さぶれ。
考えさせろ。
答えの導きを鈍らせろ。
「それが作戦成功の鍵」
2投目は見送った。
「だ〜!見送ったりバントしてみたり」
「何がしたいんだハッキリしろ〜!」
味方に焦りの色が浮き上がる。
猪里と兎丸も打席を慎重に眺めた。
3投目、動き始めた。
兎丸が拳を突き合わせ、親指で三角を作る。
次に猪里が片手を肩と水平になるようにした。
合図を猿野は察知した。
「2つの目が動いた。後は…空へと駆け上がれ」
影州が球を放った。
球種はカットボール!
詰まらせるつもりだろうけど、それはもう読んでいる。
「うおおおおおここだぁ〜〜〜!!!!」
猿野のフルスイングが飛び出した。
ズガアァァン
凄まじい打球音が会場全体に轟いた。
「作戦成功」
がそう呟いた。
ドゴオォォ
消えていた球は、照明灯の1つのライトを
地上へと落とした。
パラパラ落ちるガラスが光を反射させてキラキラ
星のように降ってくる。
「…てんごく君。それが覇竹の本当の破壊力という訳か」
武者震いが剣菱の体全体を揺さぶった。
『入った〜〜!!照明灯に突き刺さった〜!!!
セブンブリッジ学院、遂に今大会の無失点記録が
ここで潰えた〜!!!!』
0−3 十二支優勢
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