#19











君、僕らには全然作戦内容が分からないんだけど」

「あ、そうでしたね。ま、簡単に言ってしまえば
2つの目に1つの大きなパワーで対抗しましょう
って事です」


は自分の緑色の目に人差し指を向けた。


「残念ながら打席からでは情報は限られてきます。

なら違う場所からその情報を補えばいいんです」


牛尾に説明していると、初球から兎丸がギロチンを飛ばした。

ギロチンが出れば1塁を踏むのは兎丸には楽な事だった。


「よーしウサギ君ナイス!」

「へっへー」


どんなに足が速かろうがカンケーねー。

最後にはまとめて仕留めてやる。


影州はそう言いかけたが、すんでの所で喉で押し止めた。


続く猪里もお得意のイレギュラーバウンドで
兎丸を2塁に運んで自身も1塁へ。


「これで下準備の目は終了です」


後は1つの大きな力が発揮すれば…。

物思いの湖に沈んでいたを浮き上がらせたのは。


ブオオン ブオオン


大きく風を切るバット音。


「おい…見ろよあいつ、あの本数を軽々と…」

「なんてパワーだ!!」


両手で持たれているバットの本数は
セブンブリッジ側の観客を驚かせる。


「好調ね。さぁ暴れなさい」

「イエッサー!!うおおおお」


猿野はバットを全て高く放り投げた。


『3番サード猿野君』


登場が派手はバットの放り投げ。

それは本人だけでなく他も気持ちを高ぶらせる。


「でもバット拾う方の気持ちにもなって欲しいわ」


はベンチからでて地に落ちる前に
バットを1つ、また1つと手の中に収めていく。


パシッ パシッ ヒュッ カンッ パシッ

観客席に入りそうなモノは持っていたバット
を投げてグラウンドに落とし、
更にそのバットをも同時にキャッチ。


「終〜わり」


パシッ


最終的には9本のバットがの左右の手に収まった。


「「「「「おお〜〜〜!!!」」」」」」


十二支・セブンブリッジ・それに観客
から感嘆の声と拍手が溢れた。


、全然腕落ちてねーな兄ちゃん」

「そうだな。いつもながら動きに華がある」


村中兄弟も久々に見たの守備を応用した動作に
賞賛の言葉を言う。


「凄っ、1本も落ちなかったぜ」


影州がマウンドから思わず声を空中に投げてしまった。


「ほっほっほ流石黒蝶じゃわい。やりおるわ」


東蘭風監督は拍手しながわそう笑いたてた。


「お褒めに預かり光栄です。東蘭風監督」

「いやいや、黒蝶とは誰が言い出したのか、
お主に似合いの名じゃわい。まるで蝶が
花の周りで踊っているようじゃった」

「人を褒めるのが上手ですね。ありがとうございます」


最後に芸者の様なお辞儀をしてベンチに下がった。


「猿野もそうだが、テメェも派手好きだな。
だから紗耶より司さんに似てるんだがな」


怒っていないどころかにやにやと楽しそうな
羊谷にはバットを仕舞ってから肩をすぼめる。

「母さんはただの面倒臭がりだっただけでしょ?
父さんは積極的な性格だったから」


亡くなった両親はそんな人だった気がするよ。


「俺は何であの二人があんなに気が合ったのか
未だに謎だからな」


プハーっとタバコの煙は広がった。

その謎がなかったら私はいなかったんだけどね。



















NEXT