#13
「プレイ!」
審判のかけ声がかかった。
「裸足で走んのかよオイ。小学生ん時の運動会の
リレー思い出しちゃうぜ」
マウンドに登った影州は独特のニャハッという
笑いをみせる。
「まあいいわ。アナタのご自慢の足。
この試合で活かせたらの話だけどね」
紅印はそういって兎丸を煽るが、兎丸の足を
警戒しているのは事実。
「影州、いらっしゃい」
「あいよ兄貴」
影州が肩を引いて投げたのは卍を描くような軌道の球。
「ストライ〜ク!」
「あれ、鹿目先輩!」
1度だけビデオで見た軌道には思わず
鹿目に確認を取るように声をかけた。
「ああ、あれは無糧道の卍シュート」
「そういえば、セブンブリッジの初戦の相手は
卍高校だっけ。その時のですか」
「ニャハハ、次はこれなんかどうよ?」
2投目を放ったそれは、明嬢高校の雛壇のRスライダー。
「ストライクツー!!」
『今日も先発影州君の七色変化球はさえ渡って
おります。先頭バッターを早くもツーアウト
ナッシングに追い込んだー!!』
「卍シュートにRスライダーとは無節操に球種を
繰り出すことでこっちにねらい球を絞らせん気か」
「それは間違いないでしょうね」
「、それよりも気づいてるか?あのバッテリー
普通じゃねぇ」
一宮が眼鏡を押さえながら話に入ってきた。
「ん?それはどういうことだい?」
の代わりに牛尾が聞き返した。
「普通バッテリーはキャッチャーがサインで配球を指示
したりするだろ?あのバッテリーはそれをする様子が
まったくないんだよ」
「あ!」
は短く声を出した。
ピッチャー経験のある自分が気が付かなかった事に
呆れてしまう。
「そうか、てっきり私たちみたいにアイコンタクトか
何かしてると思ってたけど」
「アイコンタクトで!?」
一宮がそちらに驚いた。
「はい。私も私の相棒も目が良くて瞬きの回数とかで
配球してたんですが、中宮兄弟それも必要としない」
「これでは全く次の球の予兆にも気づけない」
牛尾もその事実に汗を一筋垂らした。
「凄いねー。あんなに色々投げてくるとキャッチャー
さんも大変でしょ」
「うふ…長年双子やってるとねどんな球が来るか
何となく分かるわ」
ノーサイン投法。
予測不可能とは恐れ入る。
次はどんな球かなんの手がかりもないや。
しょうがない自分でなんとかしなくちゃ。
影州が振りかぶって、手を横に振った!
サイドスローでしかもこれは黒撰の
沖のダウナーシンカー!
ホントはギロチンが良かったけど、ここは
絶対にはずせないから。
断頭台バント
コッ
『何と兎丸君スリーバント!打球は3塁線の
サードの前に力なく転がった!!』
「雀!捕って1塁へ!!」
紅印の激が飛び、兎丸はヘルメットを投げ捨てた。
全リミッター解除!
"TOSフルバーニア"
身を極限まで前に押し出すような走り。
霧咲が球を捕球して1塁の剣菱に投げた。
ズダッ バシンッ
剣菱のグラブに球は収まり、
兎丸はベースに手を突いている、
音はほぼ同時。
判定は?
「せ、セーフ!!」
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