#11








…面白え…久々に全力の球をブチ込んでやりてぇ
打者に出会えた気がすんぜ。

犬飼が足を持ち上げ、球を投げた。


眼前に…これが、飛竜か!!


剣菱の言うとおり、それは飛竜。


ドガァ


打った!球はファールでサード方向。

猿野が飛びついた。


「もらったあぁぁ!!」

『サード横っ飛び〜!と、捕った〜!!』


「よしっ!お猿君ナイス!!」


その球を捕れるとは随分成長したよ!!

しごいた甲斐があった!!


は目頭が熱くなる思いがした。が、その喜びも
つかの間に球の重さにグラブが持ちこたえられなく
なって球と共に飛んでいってしまった。


『なんという破壊力!グラブごと持って行った〜!!』


ドゴオッ

球はスタンドの壁にぶつかってようやく勢いを止めた。


『ふぁ、ファール!!捕球した選手のグラブをはじき
飛ばすすさまじきバッティングだ〜!!!』


「お猿君、手平気!?」


はグラウンドに横たわって手を押さえる猿野を
心配そうに声をかけ、万が一の為に手を診せてもらう。

「いってぇ〜ったくなんて球打ちやがる!
手がビリビリするぜ」


「うん、骨や筋肉などの異常はなし。さっきのはよく飛び
ついたよ。はい新しいグラブ。壊れたのは私が拾っておく」


「ああ、すまねぇな」

「これ位はお安いご用よ」


は駆け足でグラブを拾った。

凄い、こんな厚い素材で出来てるグラブがこんなに
切れてしまうなんて…これは三振狙うしかないわ。


はちらりと辰羅川と犬飼に目配せする。

ええ、そうですねさん。犬飼君…これを。
犬飼は答えるかのように腕を振り下ろした。



止まって…また飛竜か。


剣菱は構えて球を待つのだが、遅い。

あれ?おかしいな…いつになったら来るんだ?


これじゃまるでホントに止まっているような…


「剣ちゃん!!その球は違うわッ!!」


紅印の駆けた言葉にはっとするが、すでに時遅し。

ストっと球が沈んで辰羅川のミットに収まった。


「ストライクツー!!」

「うん。上手くいってるねOKボール」

ちゃん、OKボールって何でしょう」


凪がそう質問してきたのでは球を持って
説明を始めた。


「OKボールはチェンジアップの主流なんだけど、
親指に人差し指をくっつけて輪っか作ると
OK合図でしょ?これで残り3指で球を投げると
遅いボールを投げられるの」


黒撰戦は私が飛竜を知らなかったから教えて
あげられなかったけど、今回には間に合った。


「これは凄いっすよ。僕のサイドスローも
急速差を持つけど、飛竜だと目の前に迫ってきて
速度が分かりづらい分打者の反応も遅れる!」


「ファストとスロー。この2つがあって飛竜は存在できる」


大神さんには、教えてあげられなかったけど
次の受け継いだ人にはそれが出来たよ。

もう1球を投げた。


剣菱のいる打席に犬飼の球が迫ってくる。

これは…スローの方か!!


ドゴォッ


『打った〜!レフトボール際!大きいが切れるか!?』


そんな、この急速差で振り遅れないとは!!


辰羅川はマスクをはずして球を目で追いかける。

そこには球を追いかけて走る獅子川の姿が。


「逃がしてたまるか〜〜!!」


飛びついた!!


「グアァッ!」


またもやグラブごと持って行かれ、線を切って柵を越えた。


『ファール!!』



























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