#9








「もう密談はお済みかしら?アタシはねコソコソ
小細工打つよりも真っ向勝負を挑んでくる男の方
が好みでしてよ?」


ヘルメットの縁を直しながら紅印は犬飼へ語りかけた。


「私は真っ向勝負も大好きだけど奇策や戦略も好きだな〜」


その辺は紅印さんと趣味が違うな。


「…おい…いいのか?そんな安定しねぇ姿勢のままで」


馬鹿にされていると思ったのか犬飼はふいにそう
訪ねてしまう。


「あれ?心配してくれるの嬉しいv
アナタのその端正な顔立ちがこれから泣き顔に
変わるのかと思うとゾクゾクするわ」


すっごい変態的発言だよ紅印さん!!



『さあ、セブンブリッジノーアウト1,3塁の絶好の
チャンス。どのような攻撃を繰り出してくるか!?』


早速で悪いが十二支。手加減出来んでの、ここは
どうあっても1点奪らせてもらうぞ。

東蘭風監督が両手の拳をぐるぐると回してグラウンド
の3人にサインを送った。

犬飼が振りかぶって投げると、それと同時に
ランナーが走り出した!


「ホームスチールか!?」

「違う、スクイズです!!」


津島の言葉にが反論する。

その根拠は紅印がバントの体制をとったから。


「埼玉2強だ初回から奇襲とは中々見込まれてる…」


でも、かかった!!


紅印がバットを寝かせたのを見ると虎鉄・犬飼・
猿野がすぐさま前に進み出たが、それを予測していたよう
に紅印は口の端を持ち上げた。


残念ね…そんなマニュアル野球じゃアタシ達の激しい
攻撃は押さえられなくてよ。


「いいわ、打球を殺すだけがバントではないって事
教えてア・ゲ・ル」


"魅惑の犠打法 シャネルNO5"


紅印はバットの側面に手のひらを当てて球を押し返した。

プッシュバントした超速で走る球はサード猿野の
股間でバウンド!


「よっしゃスクイズ成功だ!!」


セブンブリッジ側の富豪がそう喜ぶがピンチである
はずのは余裕の笑みを浮かべていた。


「甘い!司馬君!!」


バシッ

猿野の後ろに控えていた司馬が球をキャッチした!


「よっしゃ、ナイス音符君!」


猿野はすでに分かっていたのですぐに感謝を表した。

司馬はそのままホームの辰羅川へとバックホーム。

霧咲はすぐそこまで迫っている。


バシッ ザザザッ


ほぼ同時のタッチ…判定は?


「あ、アウトー!!」


それを聞いて辰羅川が3塁へと球を投げ返したが、
前進した猿野はベースにはいない。


「抜けとるのう…誰もベースカバーに入れる内野手が
おらんではないか」


タダでは転ばんぞ。ここは3塁を確保して次の打者で
決めればよい。


東蘭風監督の考えは正論。だが、否だからこそ読みやすい。


「ええ、内野手はいませんね」


「慌てて早とちりしたカ?このままホームもいただくヨ」


余裕でベースを踏もうとしたワンタンの目の先に
にゅっとグラブを付けている手が伸びてきて
球をキャッチした。


パアァン


「おお〜っと中国雑伎団君よ。こッから先は通行禁止だぜ」


レフトの獅子川がサードのベースを踏んでワンタンを阻んだ。

ワンタンは驚きで目を見開くしかない。


「あ…アウト〜!!!」























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