#1






あの日から数日後、の不調も収まって
部内の活気も取り戻した。



「ゲームセット!!」


審判の試合終了の掛け声。


「只今の試合、2−5をもって十二支高校の勝利です」

「「「「「「「ありがとうございました〜!!」」」」」」」」


星詠との試合も滞りなく勝利して、ついに準決勝へと
コマを進める切符を手に入れた。


「うお〜ついにここまで勝ち進んだぜ!」
「ここまで来たらもうマグレじゃねーだろ!!」
「よーしテメーらよくやった!!」


毎回のスタンドにも溢れんばかりの賞賛が沸き起こっている。


「ベスト4進出ね。次が準決勝7Bとの試合か…
不安も悩みも尽きることはないわね」


それでも待ち遠しい気分であるのは疑いようもない。



「凪はどうなるかな?」


凪は実の兄との試合をどのように捉えられているのだろう。

もし、前日までに決心が固まらないようであれば…。


「凪の心次第ね」


凪の心に従おう。

私はあの子をあの約束以外で裏切りたくない。



+*+*



そして、準決勝前日にミーティングが開かれた。


「本日はエロヒゲ監督が女房と子供に逃げられて探しに
行ったきり行方不明「嘘吐くな。
私の制裁が降る前に
キラキラな衣装片付けて早く並んで。監督不在なのは
本当なので勝手に進めちゃいましょう」


最初に用意したボードにセブンブリッジの資料を貼り付け、
ポジション表のピッチャーの位置を棒で指し示す。


「まずは選手各々の特徴から上げていきます。
間違いなく先発は他人の球をコピーする特技を持つ中宮弟
の影州さん。鹿目先輩の剃刀もコピーされていました」



次に下へと棒を移動させてキャッチャーを指す。


「キャッチャーは影州さんの兄でゲームメイクの
中心、紅印さん。打率6割でバッティングも良いです。

それに後ろを守るショート・ワンタンさん、サード雀さんの
身軽な守備技術は私のものと類似してますね。

外野はセンターの土本さんの速さはないものの巨体で
こそのホームランボールキャッチに目を見張ります。

セカンド富豪さん・ライト三葉さん・レフト烽火さんも
これといった弱点はありませんが、バッティングに関して
は他のメンバーほどではないでしょう」


ここで一旦言葉を区切った。

はファーストに棒を移し、その後にマウンドを指す。


「問題はセブンブリッジ主将で4番の鳥居剣菱さん。

苗字で分かる通り、1年マネージャー鳥居凪の兄です」


猿野と凪の顔がこわばった。


「大体は切り札としてマウンドには立たずファースト
を守っています。今の所確認できているのはMFBのみで
黒撰で対立した私の義兄、魁兄並の重い球を投げてきます」


あのめり込んだ球を見る限りは間違いない。


「バッティングは打てばほぼ長打で脅威的
としか言いようがありません」


は各々の説明は終了させ、握っていた棒をボード
のふちにそっと置いた。


「守備は今大会失点0の穴無しで打撃力もトップレベル。
死角はないと言って過言ではないでしょう」


最終通告されたような顔をした部員が思わず声を上げる。


「そんな化け物みてぇなチームに勝つ術なんてあるのかよ!?」
「これじゃ華武との練習試合の二の舞だぞ!?」

「ないなら作るしかないでしょう?監督、説明しますか?」


は校舎に続いている道の方角を見て、他の人間も
それにつられて同じ方向を見る。


「面倒なのは終わったようだな。いや〜女房に叱られちまった。
悪りぃがオメェの名前出させてもらったぞ」

「夫婦喧嘩に私を巻き込まないで!!」

「女房はオメェ気に入ってんだから効果抜群なんだよ。
さ〜て、折角の20年ぶりの準決勝。勝つための説明
聞く気あるか野郎ども」


火のついたタバコを野球部員へと向けて意気込みを問うた。


「ったりめーだ!!勝たなきゃ甲子園はねぇんだよ!!」


猿野がパンッと拳と拳をぶつけた。


「では説明しよう」


勝つにはどうすればいいのかを。

















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