#07 過去の思い出



午後の授業、私は居眠りをしていた。夢を見てしまうほどの眠りを・・・。



!!!!』

『加西!!誰か救急車を呼べ!!』 



『貴女の所為よ!!貴女の所為では!!!!』

『ご・・・めん。ゴメンネ・・・』



『貴女は・・・・・・誰?』



『お義父さん、私、ソフトを辞める』







!!大丈夫か!!」

はっ。起きたら、先生が横にいて私を揺すっていた。

「大丈夫か?顔色が悪いぞ」

丸めた教科書を持ちながら先生は聞いてきた。

……こいつ最初それで叩くつもりだったな。

「ちょっと辛いです。保健室に行っていいですか?」

本当に気持ちが悪い。食べたものが逆流してきそうだ。

「良し、行って来い。鳥居、ついて行ってやれ」

「はい」

「凪、1人で行けるから…」

「そんな顔色じゃありませんよ。早く行きましょう」

半ば強引と言える形で教室を出て、保健室に向かった。

凪って結構強情なんだ。否、なんか凪の心配の仕方はちょっと過剰に見える。
何か昔あったかな。ぼーとそんな事を考えているうちに保健室に着いた。

「凪、もう戻っていいよ。ありがとう」

「でも」

「もう着いたし、後でノート写させてね」

「…はい。分かりました」

「後、今日はまっすぐ家に帰るだろうから、昼の続きは又今度で」

「はい。他の方々にも言って置きますね」

そして、私は放課後まで保健室のベットで過ごした。

 



 放課後、そろそろ帰ろうと思い、体を起こした。

―。一緒に帰ろう」

丁度良くが来た。私の鞄も持って来てくれたのか。ありがたい。

。鞄まで持ってきてくれたんだ。ありがとう」

「ううん。今日は帰りに話したい事あってさ」

昼休みの話か?嬉しそうだから成功したな。

「うん。じゃあ帰ろうか」

 



学校を出てちょっと行った所の小さい公園。

そこにはブランコが2つと滑り台とジャングルジム。
私たちはブランコに腰を下ろした。

「あのね。あたし新井先輩と付き合うことになったんだ」

「やっぱり!!おめでとう!!よかったじゃん。大体予想は出来てたけどね」

だって2人ともあんなに嬉しそうに話してたし。

この頃は苛付く事ばっかだったらこういう嬉しい話は有難いな。

「アリガトね

「私は何もしてないけどね」

「あたしを文芸部に引っ張って行ったのはだよ。
私がこんなに楽しく学校楽しめてるのもがいたから。
中学とは大違い過ぎて笑えて来る。
私、中学2年から登校拒否してたの」

「え?」

今、凄い事サラリと言ったよこの子??!!

「1年の2学期からかな。私、女子からずっと虐められてたの。
原因はクラスのリーダー格の子が好きだった男子に私が告られたから。
それから元々少なかった友達も離れて行っちゃってね。

教科書は全滅。鞄は4回変えた。
頭のいい子でね。自分では手出ししないで、私と友達だった子にやらせてた」

呆然とした。とは未だ友達になって1ヶ月経っていない。

でも、最初は大人しくて、人見知りする子だなって思った位で
虐められて、そんなに酷い目に合って。

その時、私達は会ってなかったからしょうがないけど、悔しい。
友達がそんな大変な目に合っていた事に微塵も気付かなかった自分が情けない。


感情と言う蛇口が開き、理性というなのコップに水を溜めていく。

それでもの話は続いた。

「それでね、耐えられなくて、リストカットしちゃったの。
公園の公衆トイレでカッター買ってきて」

「自分でつけた傷を見て、あー死ぬんだな。死ねるのかなって。
意識とかもう朦朧として来た時ね、人が入ってきたの。

そしたらその人すっごく慌ててた。当たり前だけど。
でも私の頬を叩いて、声をかけて意識立たせて、
手首止血して、すっごく対応が早かった」

……その人ってもしかして。
「あれ、でしょ?」





そうだ、あの日、のお見舞い行って、泣きたくて、知らない公園に行ったら女の子が倒れてて、
驚いて涙引っ込んで、慌てて手当てした覚えがある。

「あの子だったの?えっ?でもあの子とは何か雰囲気というかなんか違うような」

そう、あの子はチーマーとかに入っていそうなかなり不良ッぽそうな子だった。

「あの時の私は荒れてたから、親も手が付けられなかったって言ってた」

高校入って吃驚した事は沢山あったけど、どれも今程ではなかった。

「あの後も学校行けなくて寂しかったけど、
リスカの痕が全部消えた頃は何とか自分も周りも落ち着いてきてね。

自分で勉強して、知り合いが一人もいない場所に来て不安だった時、
一番最初に声を掛けてくれたのもだったの。
最初会った時は全然気が付かなかった。あの時の人と似てるなって位は思ったけど。
会った場所東京だったし。

あの時の、黒い野球帽被ってて顔良く見えなかったし、髪の長さが全然違ったしね」

「どこで、気が付いたの?」

私は今の今まで気付かなかった。

「昨日の飛び降りた時、不敵な笑みって言うの?

それが最後に見た顔と同じだったから」

そういえば、最後に格好つけて『人生諦めんな。』って言って帰ったっけ。

「あの時ね。始めて会った人に優しくしてもらえて、
慰めてもらって、それが無性に嬉しかった」

私も嬉しかった。
アレの御蔭でピンと張られていた糸が切れたみたいに吹っ切れて、
の事の罪を少し晴らせた気がして。

罪を償う決心をして、が元に戻るまでバットを振らない、
野球もソフトもしないって決める事が出来た。

    私は一番大事なものを封印する事で自分の心を守った。

今思うと、私は免罪符が欲しかったんだな。

それで似た年頃の子助けて、それを手に入れた気になっていたんだ。
ただ、を使って逃げる理由を確立しただけかもしれない。

「だからね。今、私がこんなに嬉しいのはのおかげなの。
があたしを助けてくれたの。命も心も」

でも、そのお陰でこの子はココに入る。

「あの時、助けてくれて有難う」

この子は過去を振り切った。私は未だ過去の糸に絡まったままだ。

「私の本当の友達になってくれて有難う」

次は、過去の審判を受けるのは私だ!!

。私はに謝らなくちゃ」

「何で?」

「私はあの時のを助けて良い気になって自分の罪を軽くしようとした。それで逃げた」

「私が助かった事に変わりはないよ?」

「うん。でも、私も有難う」

私はそれだけ言ってブランコを勢い良くこいだ高く、高く

今だ!!私は又無重力を体験する。

??!!」

体を前に回り、一回空中を回転しスタンと
重力を感じさせない足音を鳴らせ着地した。

「今度は…私が過去に決着を付ける!!!!」

次は私が戦う番だ。





プルルルル

「はい。村中です」

聞き慣れた優しい女性の声。

『お義母さん?』

「あら、どうしたの?」

『今からの所行ってくる』

「え?!」

『ちゃんと決着付ける覚悟できた。だから言ってくる』

「…駅に着いたら又電話しなさい。迎えに行くわ」

『…有難う』

ガチャン 

「やっと前に進めるのね

母は、娘が次に進む決心をつけた事に喜びを感じた。











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