#04 早朝散歩




次の日、いつよりもずっと学校に行くのが憂鬱なのだが、
習慣でいつも通りに起きてしまった。

のそのそと布団から出て、昨日は行けなかった
愛犬ゴン太の散歩に出かける事にした。

「ゴン太散歩行くよー」


リードとビニール袋を持ち、庭に出ると
そこでは魁とユタが体力づくりに勤しんでいた。


「魁兄にユタおはよう」

「あ。おはよー」「今日もゴン太の散歩悪いな」

「2人もご苦労様。じゃっ行ってくるね」


話しながらゴン太にリードをつけて、玄関を開けた。


「いってらっしゃーい」







はっはっはっは。

ゴン太と私はジョギングくらいのペースを崩さずに走る。
今日は川岸の道コースを選んだ。

いつもならばココは夕方しか来ないから新鮮だ。

正面から誰か来た。あっちも犬を連れている。

随分大きい人。肌が浅黒くて白髪が目立つなー。

……というよりか見覚えあるな、うん。

「「あ」」

「お前……」

犬飼は思わぬ所で昨日知った女子に会い、
顔を赤くしてワタワタとどうすればいいか分からずに慌てる。


すっごい慌ててる。私何かしたっけ?確か、野球部の人だよね。

一昨日、人を背負って猛スピードで廊下を走ってた。

子津君が十二支野球部名物の騎馬戦だって言ってたけど。

えーと走ってた人の名前は犬飼君と……。


「えーと猿野君だっけ?」

「とりあえず、まったく違う!!」



怒らしちゃった。めっちゃ憤慨中だね。

「じゃあ犬飼君の方か。ゴメンネ。

話に聞いただけだからどっちか判別できなくて」


……一応謝ったよ。そんなに猿野君って子が嫌いなのかな。


「はぁ。とりあえず…いい。お前、…だったか?」


……何か呆れられてる?


「うん。犬飼君も犬の散歩だよね。その子なんて名前なの」


大きなゴールデンレトリバーに目を移す。
こんなに近くに他の犬がいても吼えないなんて、大人しくて賢い子だな。


「…トリアエズ」

「へ?」

「トリアエズって名前だ」

何か……。






「ナイスネーミングセンス!!」




とても面白い!!思わず右手がGOODというかのように親指立てちゃった。


「……とりあえず、サンキュー。そっちのは?」

「ゴン太」

「渋いな」

「言っておくけど、名づけ親は父親だからね」


決して私じゃないよ。拾ったのは私だけどさ!!


「男の子供いたら太郎とか付けそうだな」

「……大当たりだよ。由太郎って義兄弟(きょうだい)がいるから」

「座布団1枚持って来なさいだな」


ップと手で口を隠し噴出す。

笑ってるのか?そんな所が笑いのツボなのか?!そして笑点好きか??


「ねぇ、私、貴方に何かした?」

「は?」


 急な話題転換に着いていけなかったようで聞き返すように声を出す。


「なんか最初の方でオドオドワタワタしてたから。むしろ怯えている感じ」

「いや…その…」


おいおい顔赤いぞ。名前の通り犬みたいな奴だ。うん、あだ名は犬君だね。


「女が…苦手なんだ。いつも甲高い声で追いかけられるから…」


 言い難そうに理由を明かす。


「おー頑張った頑張った。自分の弱点をちゃんと
言えるのはいい事だよ。犬君は凄いね」


日の光が強くなって来た。そろそろ帰るか。


「んじゃ、私帰るねバイバイ犬君」


元いた道を戻ろうと後ろを振り向いた。

「っ!!」

「何?」

「とりあえず…お前は…そんなに苦手じゃない。

他の奴らと違って、五月蝿くないし…」


犬君は雰囲気的にウソとかお世辞とか言いそうに見えなかったから
少し吃驚したけど、私は嬉しかった。


「ありがと」


そう言い残し、ゴン太と一緒に走った。


「…俺らも帰るか」


の最後に笑った笑顔がとても綺麗だった。

顔が何時もより赤いのが分かる。早くこの顔の火照りを飛ばしたかった。













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