#03 帰宅
「まったく何なのよ!!私がもう野球関連に関われないの
知っててやってるから余計に性質が悪い!!」
1人帰路に着きながら愚痴を言って苛々を解消させる。
どうして、どうしてそんな事を言うの?
そんな疑問が渦を巻く。
早歩きだった所為か何時もより早く家に着いた。
「ただいま―」
「おう、。帰ったか」
「お義父さん、監督の仕事中は?」
黒撰高校で野球を教えている私の育ての親の村中紀洋。
元プロ野球選手で大打者と呼ばれる程に有名だった。
「今日はグラウンド整備で部活は無かったからな」
「てことは魁兄もユタもいるんだ」
2人は私の義兄弟でお義父さんが率いる黒撰野球部の選手をしている。
「ああ。自主練しとるから庭にいるぞ」
「じゃあ私はゴン太の散歩に行こうかな」
靴をそろえ、着替えようと思い自分の部屋に戻ろうとしたら。
「」
「ん?魁兄どうしたの?」
魁兄はいつも通りというか、練習メニューを終えた姿で玄関に立っていた。
「何か、あったのか?」
「どうして?って魁兄は分かっちゃうよね。
ちょっと羊のおじちゃんと喧嘩しただけよ」
「羊谷殿とか?」
「そういやぁあいつ十二支の監督になったとか言ってたな」
「それでマネージャーやれって言われて断っただけ」
また苛々した感情が戻って来る。
「お主まだあの事を思い悩んでいるのか?」
「魁兄、当たり前でしょ。私は許されない事をしたんだから。
…野球に関わる資格なんてとっくに失ったわ」
「だが…」
「もう、お終いにして!!」
パンッ!!
私は自分の部屋のの前まで来て襖を勢い良く閉めた。
その先の言葉はもう聞き飽きたし、言って欲しくなかったから。
「まだ囚われたままか」
「しかし、親父殿、此の侭ではいけますまい」
「確かにな」
2人はため息を吐くしかなかった。
「も強情だからな。んでもって優しすぎだ」
話を聞いていた様で庭からひょっこりと由太郎が顔を出し、話に加わる。
「同感だ」
「あいつの性格は司さんにそっくりだからな」
「又、その話かよ〜」
うんざりした由太郎の口調はその話題の多さを表している。
「親父殿は司の叔父殿を尊敬しているからな」
「おう!!あれほど出来た漢は中々いないからな。
しかし、その司さん達が何であれほど早く三途の川を渡る
羽目になったのか今でも納得いかん」
悲しみと怒りに近いモノが重くのしかかる。
「親父殿」「オヤジ」
「しんみりしちまって悪いな。さあ練習再開だ」
2人の息子に向き直ってから庭に戻って行く。
その大きな背中は未だに寂しさを物語っていた。
「オヤジはを溺愛して叔父ちゃん叔母ちゃんも忘れられないから余計にキツイよな」
「拙者もの親父殿とお袋殿をほとんど覚えておらぬからな」
「俺はが元気になって笑って、
又一緒に野球が出来るようになれば一番いいんだけどな」
「それは拙者も同じ事だ」
は兄弟にとても心配されてる様だ。
「でも、それの所為で彼氏出来たら、やだなー」「同感だ」
……未だその対象がいないのに闘志燃やしまくっている。
この兄弟は妹離れが出来るのだろうか。
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